マグダレンの祈り

原作を先に読んでしまうと、いつもがっかりするんだけどマグダレンはわりと上手く描けていた気がする。


◆制作
原題:THE MAGDALENE SISTERS 2002年 イギリス・アイルランド

◆キャスト
ノラ=ジェーン・ヌーン
アンヌ=マリー・ダフ
ドロシー・ダフィ
ジェラルディン・マクイーワン

◆あらすじ
原作はマグダレンの祈り、ジューン・ゴールディング。1960年代のアイルランド。結婚前に妊娠してしまった女性たちは神の下で矯正をするマクダレン修道院に収容された。

彼女たちが自分の運命と向かい合い、生きる道を模索していく。

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レイプされて妊娠した女性、男性にだまされて結婚前に妊娠した女性達が、密かに修道院で子供を産む。生まれたその子は里子に出される。子供の行方を知りたい、それがだめならせめてカードを、とシスターにお願いする母の姿がとても切ない。

結婚前に妊娠した女性は、ふしだら。という烙印を押されてしまう。ほとんど満足な食事を与えられないまま、過酷な労働を強いられる。もちろん自由はない。出産するのに医者はいない。母体が危険な状態になってしまっても、薬はおろか医者を呼ぶ事さえ出来ない。家族に助けを求めても、家族の恥である彼女達に暖かい手は差し伸べられない。

こういう時、一番非情になるのが血の繋がった家族であるケースは多いらしい。自分達に火の粉がふりかかってくるのだから、無理もないのかも。肉体的にも辛いだろうが、一番辛いのは人としてさえ扱われない事。自分の名前を名乗る事も、痛くても声をあげる事も、休む事も許されない。

この話は、ちょっと昔の話かと思っていた。が、そんなに昔の話じゃなかった。つい数年前まで、女性更生施設とよばれたこういう場所があったらしい。悲しすぎる。本でも映画でもいいけれど、こういう事があったというのは広まって欲しいな。そして、二度とこんな目にあう女性が出ない事を願う。