血の伯爵夫人

血の伯爵夫人と言われたバートリ・エルジェーベトをジュリー・デルピ―が監督、主演で。

血の伯爵夫人(字幕版) - ジュリー・デルピー, ダニエル・ブリュール, ジュリー・デルピー, ジュリー・デルピー, ジュリー・デルピー
血の伯爵夫人(字幕版)

◆制作
原題:THE COUNTESS 2009年 ドイツ・フランス

◆キャスト
ジュリー・デルピー
ダニエル・ブリュール
ウィリアム・ハート
アナマリア・マリンカ

◆あらすじ
17世紀のハンガリー。貴族の娘エルジェーベトはナーダジュディ伯爵と結婚。だが、伯爵は亡くなる。夫の死後、舞踏会で知り合った青年イシュトヴァンと恋に落ちる。

***

この時のジュリー・テルピーは好き。気位の高い貴族の未亡人の仮面の下で舌なめずりしてそうな女の顔。上品と下品を一緒に見た気がする。

ところが彼の父親は2人を引き裂く。イシュトヴァンと仲を引き裂かれたエルジェーベトは
彼からの連絡をひたすら待ち、食べ物さえ口にしなくなる。

もともと美に執着があったらしいが、イシュトヴァンのように年の離れた青年と恋に落ちたとしたら、その執着に拍車はかかっただろう。その感じは映画の中でも出ている。

彼から連絡が来ない事に失望とイライラが募りある日、メイドをブラシでひどく叩いてしまう。そのメイドの血が飛び散った部分の皮膚が若返ってる?と思い込んだ夫人。若い処女の血を塗れば若さは保たれると思い込み、どんどんと血を求める。

近隣の女の子。足りなくなれば身分の低い貴族の女の子まで。それが他へ知られぬはずがない。イシュトヴァンの父は息子に彼女のもとへ行き事実を確かめろと命ずる。イシュトヴァンが夫人に会いたい一方、恐怖を感じているのが怖い。

ちょっときれいに作ってる気はする。エルジェーベトは血族との結婚を繰り返した家系で、精神的にもともと危なかったらしい。

そうじゃなければ、複数の女の子を鉄の処女(アイアン・メイデン)で死に至らしめその血を全身に浴びてまで、若く美しくなりたいとは願わないはず。たくさんのハエ、腐肉の匂いのする城、遺体を埋めた荘園。想像するだけで怖い。

ただ、そんな夫人もある意味犠牲者。血族結婚も精神的におかしいのも彼女が選んだことじゃない。恐ろしい吸血鬼じゃなく、人として悲しいエルジェーベトを監督は描きたかったのかも。