パフュームある人殺しの物語

テーマは好きだし映像はよかった。


◆制作
原題:Perfume: The Story of a Murderer 2006年 ドイツ・フランス・スペイン

◆キャスト
ベン・ウィショー
ベルント・アイヒンガー
ダスティン・ホフマン
アラン・リックマン

◆あらすじ
 18世紀、パリ。数十キロ先をも嗅ぎ分けられる、図抜けた嗅覚を持つ孤児グルヌイユは、パリきっての人気調香師となった。しかし、彼の野望は “究極の香水 ”を作ること。その頃、街では赤毛の処女が殺され全裸で発見される事件が起こっていた。

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ルヌイユが匂いに執着して、他の人が耐えられない事でも匂いさえあれば、全てを忘れられる。それが彼の世界だというのはわかる。そして、それを追求したいという欲望が彼を動かすのもわかる。彼にとって究極の香水作り。それが彼の内なる情熱。女性の体から匂いを抽出して原料にしようと思うのもまーわからんでもない。

人間って動物だから体臭もあるわけで、いい香りだけでは出せないものがあるのかもしれない。 次々に女性を原料にし、究極の香りが出来て、その香りを嗅ぐと、周囲にいる人全員がひれ伏しエロスに陶酔する。うーん、ありえない気がする。

なんでもそうだけど、好みってもんがあるわけで好きな人もいれば、そうでもない人もいるやろし。香りにはまってる人たち限定なら、ブランド化されて異常な人気になるというのはあるのかもしれないけど。

そんな香りを手にして、欲しかったのは愛。それはないだろう。愛が欲しいなら他にも方法はあるし、その愛が欲しいが為に人を殺めてもなんて、矛盾してる。それが狂人なのだと言われればそうかもしれないけれど彼が欲しかったのは香りそのものなんだと言う方が納得できる。

完成させた究極の香り。それで満足だったはずで、だとしたら、その香りを自分だけ楽しめる環境を作ろうとしたはず。満足しなかったとしたら、それ以上の香りを想像できたからで
それなら、殺人は止まらないはず。でも、これって翻訳のせいかもしれず、英語わかんないし仕方ないのかな。

映像はよかった。ぬるっとした質感や、光と影の対比や匂いさえしそうな感じがあったな。
綺麗なものだけじゃなかったのが、またよかった。

好きなテーマだっただけに、もうちょっと香りに取りつかれた人の姿を突き詰めて欲しかったな。