薬指の標本

小川洋子さん原作の映画というので観る気に。といっても博士の愛した数式って、タイトルしか知らないんだけど。オルガ・キュリレンコ主演。

薬指の標本 SPECIAL EDITION [DVD] - オルガ・キュリレンコ, マルク・バルベ, スタイプ・エルツェッグ, ハンス・ジシュラー, エディット・スコブ, ディアーヌ・ベルトラン, 小川洋子, ディアーヌ・ベルトラン, オルガ・キュリレンコ
薬指の標本 

◆制作
原題:L' ANNULAIRE 2004年 フランス

◆キャスト
オルガ・キュリレンコ
マルク・バルベ
スタイプ・エルツェッグ
エディット・スコブ
ハンス・ジシュラー
ソティギ・クヤテ

◆あらすじ
不慮の事故で薬指の先端を失ったことをきっかけに、ある標本室で働き始めた女性と、標本作製士の男の密かで奇妙な恋愛模様。

***

手元に置きたくない、置けない物を標本にするところで働き始めた女性。いろんなものが持ち込まれてくる中、標本作製士の男性に1足の靴を。

私が見ていないところでもずーと履いてて欲しいんだ。彼はそう言った。そしてその靴は、あまりにも彼女にぴったり過ぎた。

正直ちょっと物足りない。世界観はわりと好きなのにな。静寂さ、言葉にしないこと、時間がゆっくり過ぎていく。江戸川乱歩みたいな世界。密やかで濃密で。でも何か物足りない。何だろう??

心理的な部分が物足りないのかな。はじまりは1足の靴。でも靴は象徴でしかない。いつもそこに彼の存在がある。そういう感覚。その感覚、存在が少しずつ大きくなっていく。そしてその存在が無視できない程大きくなっていく。

その事に、引きずられていく。それが嫌じゃない。性癖として描くなら、もうちょっと濃密でもいいような。

ホラーとして描くなら、行き過ぎたあたりがもうちょっと。火傷を標本して欲しいと来た少女に、ここは治療はしないよ。標本しかしないという台詞の意味を、もう少しはっきりわかりやすくさせてたら、かなり好きだったかも。

あ、すぐにわからなかったのは私だけかもしれないけど。