あるスキャンダルの覚え書き

 ジュディ・デンチという女優さんは、1度見たら忘れないと思う。そして美しいケイト・ブランシェットも美しいだけで終わらない。この2人だから観たかった。


◆制作
原題:NOTES ON A SCANDAL 2007年 イギリス

◆キャスト
ジュディ・デンチ
ケイト・ブランシェット
ビル・ナイ
アンドリュー・シンプソン
トム・ジョージソン
マイケル・マロニー
ジョアンナ・スキャンラン

◆あらすじ
ロンドン郊外にあるセントジョージ総合中等学校。ここで歴史を教えるベテラン教師のバーバラは、厳格すぎるゆえに生徒ばかりか同僚教師たちからも疎まれる孤独な存在だった。

そんなある日、美貌の美術教師シーバが赴任してくる。彼女との間にならば友情が築けると確信したバーバラ。シーバを秘かに観察し日記に書き留めていく。

ある事をきっかけにシーバと親しくなったバーバラ。ところがバーバラは、シーバと男子生徒の情事の現場を目撃してしまう。

***

ジュディが演じたバーバラは、孤独のあまり目の前にあるものが見えなくなった女性。本当は誰かと親しくなりたい。大事に思われ大事に思いたい。そういう欲望をずーと抑えていると、あまりに欲求が強すぎて叶えられそうになると、一気に噴出してしまうのだろう。

その結果、関係を育てる事が出来ず、自ら壊してしまう。ってか、犯罪だよな。すでに。相手を脅してでも、自分の都合のいいように振り回そうってのは、可愛げがなくてちょっといただけない。

バーバラと対照的なのが、ケイトが演じたシーバ。シーバは愛され上手で愛し上手。なのに自分を信じれない。自分を信じてないから、弱気になり振り回され利用される。傷ついて誰かにすがり、自分をさらけ出し利用される。まさにうってつけの犠牲者。バーバラみたいな人をひきつける要素をたっぷりもってる。

見失いそうになりながらも、最後にはシーバは自分を救い最後まで自分を救えないバーバラ。人ってこりないのねってラストは、ブラックジョーク的で好き。

シーバが溺れていく学生さん役も悪くなかったな。あの年代の怖いぐらいの一途さと身勝手さが出てたし。年老いた夫役さんも好きな俳優さん。シーバが家を出る時の台詞がよかったな。「どーして相談してくれなかったんだ?側にいたのに」みたいな感じだったかな。あの台詞にシーバが迷った、バーバラがつけいった隙が凝縮されてた気がする。

見事に見せてくれた2人の女優さん。それだけでも満足。