オールモスト・ブルー

 映画というより映像に思えた。


◆制作
原題:ALMOST BLUE 2000年 イタリア

◆キャスト
ロレンツァ・インドーヴィナ
クラウディオ・サンタマリア
ロランド・ラヴェロ
アンドリオ・ディ・ステファノ
ダリオ・ダンブロシ

◆あらすじ
若い女性をターゲットにした連続猟奇殺人事件を担当する女性捜査官グラッツィア。やがて彼女は、盲目の青年シモンが犯人の手がかりをつかんだことを知る。シモンはコンピュータチャットに熱中し、ネットからの声・会話を盗聴していた。そして猟奇事件の直前に犯人と被害者のチャット聞いてしまっていた。

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マイケル・ジャクソンらのプロモーションビデオ製作に参加したインファセリの監督デビュー作というので観る気になった。

血だらけの手で叩くパソコンのキーボード、血だまりのなかを歩く裸足の足。ドアをあけた部分だけが明るく、その向こうには大家のおばちゃん。一枚のドアの向こうはまるで違う世界という事を感じさせ、こっちの世界を印象づけるはじまりのカメラワークが好きだな。

映像は美しく穏やかなのに、そうあればあるほど気持ち悪く感じてくる瞬間があるのは、犯人の目を通して見る景色があるからだろうな。同じ景色が、二通りに見えてくる。

ブラックジョーク的なのも面白かった。策士は策におぼれ、傷つきやすい人は心に傷を増やし、刺激を受けて本来の性質を発揮する者、優しいけれど無防備ゆえに、危険をみずから引き寄せてしまう者。人は人なりな感じ。