バーバー吉野

 かもめ食堂より先に撮られた作品らしい。


◆制作
2004年 日本

◆キャスト
もたいまさこ
浅野和之
米田良

◆あらすじ
その町の小学生の男の子は、吉野がりという髪型にするというのが昔からの伝統だった。そこへ都会から茶髪の転校生がやってきた。彼は吉野がりになんかしたくない。

町で唯一の散髪屋のおかみは、伝統を守るのが子供を非行に走らせない道だと信じていて、どうしても彼を吉野がりにしたい。髪型をめぐる町の人々の話。

***

子供が心配で幸せに育って欲しいバーバー吉野のおかみさん。伝統を守って、きちんとした生活をすることが幸せになる道だと思ってる。転校してきた小学生は、みんなが吉野がりにしなきゃならないという事に疑問を感じる。髪型は自由なはずだと思う。そんな二人の考え方の違い。

町の子供達は、最初は転校生を遠巻きに見てる。大人のいう事に逆らったって、無駄なんだよと思っているけど、格好いい髪形の転校生が羨ましいとも思ってる。そのうち、子供たちに変化が起こる。吉野がりって格好悪いのか?自分達も違う髪形にしたら、格好よくなるのか?

与えられてた事を何も考えずに受け入れてた子供達が、自分で考えはじめる過程が微笑ましい。その中で一番やっかいな立場になったのが、バーバー吉野の息子。母は悪く言われたくない、でも格好よくなりたい。

そして彼をはじめとする仲間が、突破口を開くきっかけになる。誰も悪くない。誰も悪くしない結末。人を責めるのは簡単だけど、そうすると結局自分に返る事になる。

好きなのは、真面目な話をちょっと滑稽に描いてるとこ。馬鹿馬鹿しくておかしくて、懐かしい感じ。人を見る目があったかくないと、こうは描けない気がする。