ぼくは怖くない

 麦畑、青い空、それだけでも観てよかった。


◆制作
原題:Io non ho paura 2003年 イタリア

◆キャスト
ミケーレ=ジョゼッペ・クリスティアーノ
フィリッポ=マッティーア・ディ・ピエッロ

◆あらすじ
1978年、南イタリアにある小さな村に住む少年ミケーレは、廃屋の裏に穴が開いてる事に気付き、そこで鎖に繋がれた少年を発見する。ミケーレは恐怖のあまり少年のことを誰にも打ち明けられずにいた。しかし、その後も彼の事が気になったミケーレは何度も穴を覗きに行き、次第に2人は少しずつ心を通わせていった。

ある日の夜。目が覚めたミケーレは大人達が集まるキッチンのTVから流れるニュースを目にし、穴の中の少年がフィリッポという名前で誘拐された少年である事実を知ることになる。

***

10歳の少年ミケーレ、父の帰宅に喜び妹の面倒をみて、母の悲しそうな顔も感じてるどこにでもいそうな少年。そんな少年が見つけた穴の中の少年フィリッポ。

対照的な風貌でよかった。ミケーレは黒髪のまっすぐした目をした少年、穴の中の少年は、金髪で繊細な感じ。

穴の中の少年が何者なのかは観る前から想像してたし、その想像はそうはずれてはいなかった。半分あたりで、少年が何者なのかはわかる仕掛けになってる。

これで謎はなくなったなーと思っていたらそこからがいい。謎だった間は、最初は好奇心、その後は気になって穴に通うミケーレだけど、謎ではなくなったあたりから、彼の中で意識して動いてる感じが出てくる。

10歳でも試される勇気。彼の勇気が宝物のよう。そしてその勇気が何人かの人達を救う。穴の中の少年、ミケーレの両親、その他の大人たち。決して派手ではないけれど、一歩間違えばとんでもない事になるのだけど、これがミケーレという人なんだろうな。