モンスターズ悪魔の復讐

リジー・ボーデン事件を映画化。なんでこんなジャケと邦題にしたんだろう。いい映画なのに勿体なすぎる。


◆制作
原題:Lizzie 2018年 アメリカ

◆キャスト
リジー=クロエ・セヴィニー(ゾディアック)
ブリジッド=クリステン・スチュワート(トワイライト・サーガ)
エマ=キム・ディケンズ(ゴーン・ガール)
アビー=フィオナ・ショウ(ハリー・ポッター)
アンドリュー=ジェイミー・シェリダン(海辺の家、LAW & ORDER:犯罪心理捜査班)

◆あらすじ
1832年8月4日、アンドリュー・ボーデンと妻のアビー・ボーデンが斧によって惨殺された。容疑者として拘留されたのは、末娘のリジー・ボーデン。

法廷に立つ彼女を複雑な表情で見つめるのは、うら若き女中のブリジット。2人の疑わしい関係に気付くものはまだ誰もいなかった。

横暴な父のアンドリューにより精神的・肉体的に苦しめられていた女2人。哀しき絆から愛が生まれ、そして殺害に至ったのか。

***

映画の中で、父のアンドリューは独裁者的。リジーのやる事はすべて拒否し、若いメイドにも手を付ける。それを知っていて黙認する妻アビー。

リジーの姉のエマは、父に逆らわずやり過ごすが、リジーは父にも継母であるアビーにも叔父にも言いたいことは言う。

この家の中でリジーだけが父アンドリューと対立する。多分、この2人は性格が似てるんだろう。姉のエマと継母のアビーはアンドリューには逆らわない。メイドのブリジッドも逆らわない。逆らえば紹介状を書いてもらえず次の仕事が得られない。

父アンドリューは仕事で人を泣かしてもいるし、家族に無駄なお金を使うなという。お金大好きな男で人に有無をも言わせない。おかげで家は暗い。

実際の事件では犯人が逮捕されていない。証拠不十分と言ったところなんだろう。その当時の風潮もあっただろうけど。映画を観ていると犯人はリジー以外にないと思える。斧で被害者を殺害するのに、2人の殺害時間に間がある。それだけの怒りを持ち続けられるのはリジー以外にない気がする。他の人達は自分の感情を抑えることに長けているので、怒りはすぐに静まりそうだから。

ジャケと邦題をいかにもな作りにしたのは何故だろう。そんな映画じゃないのに。元を見てきたらあちらの方がずっといい。この映画にぴったりのジャケだった。もしかして映画を観ていないのではとさえ思った。多分見たうえでその系統の人達の目に留まるように考えたつもりだろうけど失敗だと思う。

女性の殺人犯がテーマになった映画は、モンスターという題になりやすいのだろうか。シャーリーズ・セロンが演じたアイリーンも確かモンスターだった気がする。

俳優さん達が見事に輝いてた。リジー役のクロエ・セヴィニー。リジーが抱えてる怒りが体から出てるぐらいで、庭でなしを手に座るシーンがよかった。
メイドのブリジッドを演じたクリステン・スチュワート。これがまたメイドの地味さがあるのに妙に色気があり、おまけにあの凄惨な場面での震え方がぴったりで、あの場面にいたら怖くて仕方ないだろうというのがよく出てた。この2人の女優さんにすごく興味がわいた。

賢いエマもぴったりで、リジーを裏切ったら許さないというあの台詞のシーンで、エマはわかってるんだな。そのうえで上手く立ち回ってきた彼女の賢さが出ていて、いいシーンだった。継母のアビーのちょっと皮肉っぽい感じもドンピシャ。そして父アンドリューの横暴さ。すべてがぴったりとはまった感じがした。