ヴェロニカ・ゲリン

 ケイト・ブランシェット、見る映画の役柄によって印象がかわるのが面白い。

ヴェロニカ・ゲリン 特別版 [DVD]

◆制作
原題:Veronica Guerin 2003年 アメリカ

◆キャスト
ヴェロニカ・ゲリン=ケイト・ブランシェット
ジョン・トレイナー=キアラン・ハインズ

◆あらすじ
1996年、アイルランドのダブリン。子供たちにまで蔓延する麻薬の実態を摘発しようと決めたヴェロニカは、記者仲間でもタブーとされていた組織の中枢にまで取材を試みる。しかし、取材をはじめると自宅に銃弾が撃ち込まれるなど、彼女に魔の手が忍び寄る。

家庭の中で良き妻であり母でもあるヴェロニカ、その一方で女性だということがほかの記者たちのやっかみに拍車をかける事にもなる。

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映画を観終わって確かめたら、実際のゲリンと外見もかなり似てた。それだけ準備をしているせいかしっかり観れた。ヴェロニカ役を演じたのがケイト・ブランシェットでよかったなと思う。

麻薬犯罪を取材し書いた、アイルランドの女性ジャーナリストの実話。脅され命が危険にさらされている事を知っていても、報道する事を止めず銃弾に倒れた。

賛否両論あるだろうな。というのが、観終わった後の最初の感じ。命が危険にされされても報道する事も勇気なら、断念するのも勇気だろう。どっちをとっても彼女は勇気ある人だったと思う。

子供達に蔓延する麻薬犯罪を止めたい。ジャーナリストとして伝えたい。その2つが一致する事が、自分の命だけじゃなく家族まで危険にさらしてしまう。いいとこどりは出来ないんだよな。残念ながら。これがハッピーエンドならどんなにいいか。

結局、ゲリンは報道する事を取った。自分の命までかけて怖いと震えつつ、負けたくはないと。そこまでして彼女を突き動かしたもの、そうせずにはいられなかったもの。それが少しだけわかる気がする。

損だと解っていても、他の人ならしないとわかっていても、そうせずにはいられない時ってある。どうしても曲げられない、引けない一線。理屈では理解してるのに、気持ちが納得しない。ゲリンにとっては、今回の件がそうだったのだろう。ゲリンだったからこそ、こういう選択をしなきゃならなくなる。つくづく、性格は運命だと思う。

この件をきっかけに、法律さえ変わったという。彼女がした事は、結果的に英雄なんだと思う。でも、英雄になりたくてしたわけじゃないと、ゲリンなら笑いそうだ。

彼女と同じく強いなと思ったのが、旦那さんやお母さん。側にいるのはどれだけ辛いだろう。

それでもこういう人を好きになったら、耐えるしか方法が思いつかない。止めても利かないだけに最後まで味方でいるしかない。けれど、最後まで味方でいる事の先に滅びが待ってる事がわかってる。耐えられるだろうか。運命を変えられない事に。切ない映画だったな。