アメリカ初の女性連続殺人鬼として有名なアイリーンの実話の映画化。
アイリーンをシャーリーズ・セロンが演じてる。R-15指定。
肉親の暴力に合い、ティーンの頃から体を売って生活するしか道がなかったアイリーンは、人生に絶望し自殺を考えていた。そんなときセルビーと出会う。両親から強制的に同性愛の治療をさせられていた彼女とアイリーンはひかれあい、一緒に暮らすようになる。
彼女との生活を守るために、再び売春に走るアイリーンは、トラブルに見舞われお客のひとりを殺し、被害者のお金を奪って逃走。そして彼女はセルビーのために殺人を繰り返していく。
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そんな環境で自暴自棄になり、家にはいられず食べていく為に体を売る事になる。その頃の彼女には希望らしいものを見つけられなかった気がする。
毎日、酒と麻薬と男達にまみれる日々。殴られ意識がない日もあった。そんな経験から男性不審に陥り、女性に安らぎを求めるようになったと書かれていた気がするけど、実際はわからない。性的指向が後から変わるだろうか。よくわからない。もし、最初から女性の方が好きなのに、男性の相手をさせられてたとしたら、もっと辛い。どちらにしろ救われない。
彼女と一緒にいたい。彼女を守りたい。自分がやるべき事を見つけた、生きる目的を見つけた気になったように思える。でも、人を守る、人と一緒にいるというのは思うより簡単じゃない。彼女を養う為に、アイリーンはとことんやる。なんでもやる。売春も人殺しも。彼女にとって、残されたたった一つの希望を守るみたいに。
ところが、恋愛関係の二人がいつも同じ気持ちとは限らない。セルビーとアイリーンにも温度差が出る。セルビーが一番のアイリーンに比べ、セルビーは自分が一番。おまけにセルビーは賢い。自分が窮地に陥らないように、うまく立ち回れるだけのずる賢さをもってる。
男たちに振り回され、やっと心休まる女性に逢えたと思ったら、同じ仕打ちにあってるアイリーン。しかもそれを認めたくないんじゃないかと思える。認めたら、何の希望も失ってしまう。生きていけなくなると思ってるみたいな気がする。
人を殺したわけじゃないのに、セルビーの方が好きになれない。確か、アイリーンが捕まった後もこの話で儲けたらしい。自分が可愛いのは誰も同じ、誰かの為に自分を投げ出せなんて思わないけど、人を利用して傷つけなくても、身を引くとか他に方法があるだろうと思ってしまう。
配役はあたってた気はする。アイリーンの話を見聞きする度に感じるのは、幼い子供が苦しんでいるような直視出来ない哀れさ。セロンはその感覚をうまく出してたと思う。セルビーの狡猾さをリッチは出してくれたし、アイリーンの凶暴な熊のような子供が凶器を振り回してるような悲しさをセロンはだしてくれた気がする。
ただ、私はアイリーンを他の女優さんで見たかったな。セロンが体系を崩して演じたのはすごいとは思うけど、外見の事ばかりになってしまって、アイリーンそのものに没頭して見れなかった。