スプライス

監督は、キューブのヴィンチェンゾ・ナタリ。ジャケットのエイドリアン・ブロディと
ドーン・オブ・ザ・デッドのサラ・ポーリー出演。



◆制作
原題:Splice 2009年 カナダ・フランス

◆キャスト
クライヴ(エイドリアン・ブロディ)
エルサ(サラ・ポーリー)
ドレン(デルフィーヌ・シャネアック)

◆あらすじ
病気を治す新薬の為に、動物の遺伝子を組みかえる実験を行っていた科学者の夫婦クライヴとエルサ。法と倫理を無視して人の遺伝子を組み込んだ新生命体を、生み出してしまう。
2人は生み出した新生命体にドレンと名付け育てていく。ドレンは急速に成長していくが、彼女の進化は、人の想像を超え手に負えなくなってしまう。手に負えないドレンを抹殺しようとするが。

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人の薬の為に遺伝子を操作して生命を作り出すという、それ事態がいい気持にはなれないけれど、それよりもっと好きじゃないのが科学者のエルサ。

夫クライヴとは仕事でも私生活でもパートナー。夫は子供を望んでいるがエルサは仕事がしたい。そんな時新生命体ドレンを作り出す。実験の結果、生きられるのだとわかったら抹殺する。彼女はそういうけれど抹殺出来ない。そりゃそうだ。命だもの。というか生きられるとわかったら殺すってすごく冷徹な気がする。

抹殺すると言ったじゃないかとクライヴに言われて、急速に成長するからきっと命は短いだろうしもう少しと粘るエルサ。急速な成長は急速な老化に繋がるって、今までの常識は通用しないかもしれないのに、ここでお安易な考えをで押し切ってしまう。

盲目の母性を出したかったんだろうなとは思うけど、母性が強い女性なら子供を持つことに躊躇はしなかった気がする。母性というより、おもちゃ扱いの幼い科学者エルサが好きになれず。

もう1つはドレンの扱い。成長し美しいメスになったドレンは、夫クライヴを誘惑する。その後、オスに変化したドレンはエルサをレイプする。ドレンはエルサの遺伝子を組み込まれてる。自分と動物の遺伝子を持つドレンとの子供を妊娠してしまうエルサ。それを産もうとまでしてしまう。

道徳とか倫理とかポリシーとかは抜きにしても、産まれる命が人とは違うものである事はわかる。その人とは違うものが、凶暴である可能性も否定できない。何も関係ない人にまで、被害が及ぶかもしれない。それ以前に出産で命を落とす母はいる。ましてお腹にいるのは人と人との間に出来た子ではないのだから、命の保証はない。

なんとか母も子も無事に生まれたとしても、その命に愛情と責任をもてるのかとは考えないのか。身勝手さがきつい。その身勝手な人間という生き物の私も1人なんだよなと思うと、目をそむけたくなる。

問題提起としてはいいのかもしれない。こういう話が好きという人もいるだろうし。