おらおらでひとりいぐも

老いと向き合う桃子さんの話。
おらおらでひとりいぐも - 田中裕子, 蒼井優, 東出昌大, 濱田岳, 青木崇高, 宮藤官九郎, 沖田修一, 沖田修一
おらおらでひとりいぐも


◆制作

2020年 日本

◆キャスト
桃子(田中裕子)
若い頃の桃子(蒼井 優)
桃子の夫、周造の若い頃(東出昌大)
寂しさ(濱田 岳)(青木崇高)(宮藤官九郎)
桃子の娘(田畑智子)
図書館の人(鷲尾真知子)

◆あらすじ
昭和、平成、令和をかけぬけてきた75歳、ひとり暮らしの桃子さん。突然夫に先立たれ、孤独な日々を過ごす75歳。湧き上がる寂しさたちとともに、賑やかな孤独を生きる。

***

誰もが通る道、いつかは一人になる。1964年、故郷を飛び出し上京した桃子さん。あれから55年。結婚し子供を育て、夫と2人の平穏な日常になると思っていた矢先に夫が亡くなる。
息子は遠くへ行ったまま、そこで生活を始めてしまう。娘は近所にいるが、顔を出したと思ったらお金の無心。子供はいないものと思う事にした、と言いつつ、娘から電話がかかってくると顔がにやける桃子さん。

心の声と会話する桃子さん。心の声を3人の寂しさが演じている。

図書館で本を借り、病院へ行き、46億年の歴史ノートを作る毎日。そこで誘われたりするのだが、その気にもならない。

桃子さんが「私が一番輝いていた時はいつ?」と自問自答するのが可愛い。夫に出会った時なのか、子育てを必死にしている時なのか。夫が亡くなって寂しいと思う気持ちの中にほんの少し別の感情が混じっていた事に気付いたり、彼女のこれまでの人生が現れる。

記憶や感情やそうしたものが脳内に次々と現れては消えているのか、それは妄想なのか自問自答なのか。そうしているうちに整理され昇華されてはじめて、次の景色が見えてくる。

いつも誘っては断られていた図書館のおばさん、最後に桃子さんがやってみると言った途端、驚くし喜ぶ。あれも可愛かった。桃子さんの返しも可愛い。「だって面白いんでしょ?」

田中裕子さんはぴったりの配役だったと思う。年齢がちょっと若い気はしたけど、華やかすぎず普通の人の1人暮らしの感じとか、可愛い台詞がぴったりだったな。

私は一人になったらどうなるんだろう。

原作は若竹千佐子さん。