カット/オフ

  ラーセン、めっけ。



◆制作
原題:Abgeschnitten 2020年 ドイツ

◆キャスト
ポール・ハーツフェルト(モーリッツ・ブライブトロイ)
リンダ(ヤスナ・フリッツィー・バウアー)
デンデル・ミュラー(ファーリ・ヤーディム)
ジャン・エリック・サドラー(ラース・アイディンガー)

◆あらすじ

リンダは元カレにストーカーに追われて、砂浜で滑り落ちる。なんとか立ち上がったリンダはそこに遺体があるのに気づく。

検死官のポールは、運び込まれた女性の遺体の頭部から紙切れを見つける。その紙切れには、ポールの娘ハンナの名前と電話番号が書かれていた。電話してみると「パパが指示に従わないと殺される。エリックを待って。指示があるから。もし誰かに話せば私は死ぬことになる。」と言った。

(犯人が少女に暴行して楽しんでいる。)

翌朝、置いてきた荷物を取りにリンダは砂浜へ戻るが、スマホは電源が入らない状態になっていた。ところが遺体のウェストポーチからスマホの着信音がした。

ポールはハンナのスマホに再び電話する。すると出たのはリンダだった。リンダがいるのはヘルゴランド島だという。すぐに向かうというポールだが、嵐のせいで島には渡れない。ポールはリンダに娘が誘拐されたと打ち明け、出かかりがないか探してくれと頼む。だが手がかりはなく、島の病院に電話してエンダーと言う男だけに遺体の話をしてくれと頼む。リンダはエンダーと遺体を運ぶことになった。

遺体を病院の地下の解剖室に運ぶリンダとエンダー。島へ行けないポールは、手先が器用なリンダに解剖を頼む。拒否するリンダに、遺体の頭部に娘の手がかりがあった事を伝え、手がかりはその遺体にもある。犯人は連続殺人犯で他にも殺してるし、まだ島にいて殺人が終わっていないかもしれない。他に頼む人がいないとポールは説得する。

なんとか島に向かおうとするポールだが列車も動かず方法がない。途方に暮れているとインターンのインゴルフが手助けをしたいと申し出る。

電話で解剖の指示を送るポール。その遺体はエリックと書かれたシャツを着て、胸には鍵のネックレスをしていた。舌が切られ喉に黄色いプラスティックのカプセルが見えた。喉を切り取り出すと、カプセルの中には女性の写真があった。彼女はヤン・サドラーの裁判の裁判官だった。

(監禁されている少女の映像。犯人が置いて行った段ボールには縄が入っていた。)

ヤン・サドラーの被害者の解剖をポールがしていた。被害者は同僚のイェンスの娘リリーだった。逃げる気が無くなるまで暴行し、どう拷問するか話した後ロープを置いて自殺するように仕向けられた。サドラーが殺したも同然なんだから、持っている全財産(16万ユーロ)を挙げるから、解剖には殺人と書いてくれとイェンスは懇願する。だが、それは法律違反だとイェンスに同情しつつポールは断る。

裁判では初犯だからという理由で減刑され、強姦については3年8か月と裁判官は判決を読みあげていた。イェンスは暴れサドラーはポールを見て笑っていた。

ポールはインゴルフとツァレンティンという小さな町に行く。そこにはイェンスが住んでいた。イェンスのボートハウスに入ると、壁にはたくさんの写真が貼られてあった。サドラーを監視していたようだ。切られた舌が瓶に入って放置されていて、パソコンがあった。若い女性を解剖しているイェンスが撮られたファイルがあり、その中でイェンスは棒に何かを刻んでいた。

一方、リンダとエンダーは裁判官の家を訪ねる。そこには下半身に棒を刺された裁判官の遺体があった。解剖室へ運ぶが、部屋の明かりが消え発電機の故障だろうと電気室へ行ったエンダーは、何者かに刺されて戻ってきた。裁判官の遺体の状態を聞いたポールはリンダに棒を抜けと言う。棒には数字が彫られていて、その数字を聞いたインゴルフはGPSの座標だと言う。

最初に運び込まれた遺体からシアン化物が発見された。顎と手を切断されて毒が発見されるが自殺だと言う話がポールに入る。遺体はシビル・シュウィントウスキーという女性で、彼女の家に動画があった。その動画では「私の死後、自分の体がある目的の為に役に立つ。精神状態は正常で自分の意志で行います」と言って服毒する様子が収められていた。夫は悪名高いフィリップ・シュウィントウスキーだが、娘のレベッカが生まれてからいい父親になっていた。そのフィリップもレベッカも行方がわからなくなっていた。

インゴルフの車にGPSを入力したポールは、目的地に着くが周囲には何もない。周辺を探していてポールもインゴルフもイェンスに囚われてしまう。

(監禁された少女が首つり自殺をしようとしているが失敗する。)

イェンスはメモリーカードを飲み込み規則に従えと言って拳銃自殺する。メモリーカードが使えなくなる前にとその場でイェンスを解剖してカードを取り出すポール。そのカードにはフィリップ・シュウィントウスキーが録画されていた。嘘をつき沈黙を貫き証拠を消す、全てイェンスがポールに頼んだことだった。イェンスがサドラーが監視していたから娘のレベッカを見つけられた。裁判官は強姦魔が更生すると思ってたが、サドラーは出所後すぐにレベッカを誘拐した。イェンスの協力でレベッカを見つけたが手遅れだった。裁判官とサドラーは死んで当然、イェンスとフィリップは生きる目的を失った。イェンスがポールはいい人だと言ったから、娘を救うチャンスを与えた。ハンナを見つけたければアルカトラズの光をたどれ、そう言い残して首つり自殺する。

解剖室にサドラーが入ってきた。彼はリンダに鍵はどこだと聞く。追い詰められたリンダはエンダーに刺さっていたナイフをサドラーの足に突き刺し、エンダーを引きづってエレベーターに逃げ込む。ナイフを抜かれたエンダーの出血が止まらない。

ポールはエアバックが開くとGPS座標が送信され救助隊が派遣される事を知り、木に突っ込む。救助隊が来て、ポールとインゴルフは嵐が静まったヘルゴランド島へ向かう。エレベーターで見つかったリンダは、ナイフを抜くしかなかったとポールに話す。鍵はどこだ?とポールはリンダに尋ね、アルカトラズはあるかと島民に聞くと、アルカトラズと同じ点滅の灯台があると言う。地下は広い掩体壕になっている。ナチスが作ったものだった。

(監禁された少女は縄を見つめていた。)

ポールたちはハンナを探しに灯台へ向かう。


*******

ラストまでは書いてないけど、よくあるラストで想像はついた。だから嫌というわけじゃなく逆に安心した。

キャラも俳優さんも安心して観れた。

エスにも出てたポール役のモーリッツ・ブライブトロイさん、この役が安定してるので他の役が面白くなってくる。

リンダは正直で人がいい。毒付きながら嫌な事もやってくれ、元彼からDVとかひどい目にあってるのに、へこたれてないあたりが好き。ヤスナ・フリッツィー・バウアーさん可愛い。

ウルリケでラーセンを演じてたファーリ・ヤーディムさんが、今回はエンダー役で出てる。前回も今回も人はいいが、危ない目に合う役。お人好しな役は似合ってる。

エンノ・ヘスさんが演じたインゴルフ、裏があるのか?って思いながら見てたら、ただのいい人だった。それがわかると可愛く見えてくる。

そして犯人のサドラー(ラース・アイディンガー)が気持ち悪いんだ。笑うと余計に気持ち悪い。悪役がきちんと悪役なのは見やすい。

少女の映像、よく見ればわかるのだけど最初は気付かなかった。時系列が前後するのもあって見破りにくかったかな。

ポールがリンダにストーカーか?と聞いたら、ストーカーなんて便利な言葉ね。本質を全く表していない。全て暴力まかせ。身体的にも精神的にも、いつも彼が近くにいる気がする。あの台詞が一番心に残った。