角田光代/幸福な遊戯

若い頃ならもう少し楽しめたかもしれない。 ちょっと懐かしい感じがした。もしかしたらもっと年を取ったら、また楽しめるかもしれない。



◆制作
2003年 日本 角川文庫

◆あらすじ
ハルオと立人とワタシ、男性2人女性1人の共同生活、「幸福な遊戯」物がアタシを呼んでいる、「無愁天使」ヤエコと八重子の話、「銭湯」 3編を収録。

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幸せな遊戯、賛否両論あるだろうなー。1軒屋を借りてクラスメートの立人、それに立人の高校時代の友達ハルオと3人で暮らし始めたサトコ。楽しかった3人の暮らしがくずれはじめたのは、ハルオがカメラをはじめてここは居心地がよすぎると出て言った事。

それからしばらくして立人も出ていく事に。残されたサトコには何故2人が出て行ったのかが理解できない。

自分が熱中できるもの、自分の生き方を見つけて旅立ったハルオ。サトコの心が自分にはなく、ただ寂しさを埋めているだけだと知って新しい生活をはじめた立人。

サトコは、ただ家族が欲しくて、ただ寂しさを埋めたくて、2人の男性にしがみつこうとする。それが相手を傷つけたり不幸にしてしまう事にさえ気づかない。

いや、気づきたくないのかも。 そういうサトコの幼い感じは出てたかな。サトコの家は崩壊していて、彼女には家族という安心していられる場所を求める気持ちがあって、ハルオと立人はサトコにとって家族になった感じ。

その心地よさを手放してハルオと立人が出ていく理由は、サトコにはわからないだろうな。 サトコが2人と寝なかったらどうなっただろうか。3人の温度差が切ない。

無愁天使、銭湯も、幸福な遊戯と同じくちょうど大人になる頃の葛藤が描かれてるけど 無愁天使は喪失感、銭湯はの鬱積する疲労感が描かれてる感じ。

この本は、風とか音、匂いや温度まで想像させる感じの文章は好き。ただ、登場人物が苦手なタイプの人が多い。特に主人公が苦手ってのが、残念。