グレッグ・アイルズ/神の狩人

駆け引きが面白かったな。

神の狩人〈上〉 (講談社文庫) 神の狩人〈下〉 (講談社文庫)


◆制作
原題:Mortal Fear 1998年 アメリカ 講談社

◆あらすじ
コンピューター・ネットワークエロスの会員が次々と殺される。サイトでは五千人の男女が情報を交換していた。ネット上で獲物を探す天才殺人鬼の出没に、彼らは震えあがる。

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ネットって匿名だから、お酒飲んだ時みたいに、その人が素直に出るのかも、と思った事があったから、エロスに5000人の会員がいても、違和感はなかった。

会員制って言葉で安心してしまう状況を、生み出しておく。そういう背景が、後でいきてくる。エロスに入ってる会員のほとんどは罪のない人。ただ、現実では実現出来ない欲望を吐き出してるだけ。そんな会員を、格好の獲物にする犯人が現れるまでは。

その犯人をおびき寄せる為に、エロスのシスオペが女性になりすまし、犯人と交流をはじめる。犯人はひっかかるのか。そして犯人は何故人の命を狙うのか。同時に、シスオペの現実の世界がバランスを失いそうになる。夫婦関係の危機、それは昔のあやまちが原因。過去が現在を脅かす。ネットの中の犯人と、過去の過ちがシスオペを責める。彼はどこまで耐えられるのか。

最終、ネットで獲物を見つけていた犯人が、ネットでしか交流のない犯人が、現実のものとしてシスオペに忍び寄る。すべての歯車が、結末に向かって転がっていく。

一気に読ませてくれた一冊だったな。グレッグ・アイルズは、ミステリーなら読みたい作家。今のところ、飽きてない。飽きさせないで欲しいな。