トマス・H・クック/熱い街で死んだ少女

時代背景と事件がからんだ一冊。

熱い街で死んだ少女 (文春文庫) - トマス・H. クック, Cook,Thomas H., 靖, 田中
熱い街で死んだ少女 - トマス・H. クック

◆制作
原題:Streets of Fire 1992年 アメリカ  ‎文藝春秋 

◆あらすじ
デモの潮が引いたあとの公園で、黒人少女の死体が発見された。捜査を担当するのは、白人。その当時、公民権運動デモが盛んで、白人と黒人の間に偏見や軋轢がかなりあった。

担当した刑事さんは、事件を解決したいと思う。人種がどうであれ、少女が殺される理由にはならないと。が、白人からは、黒人の事件などほっとけと言われ、黒人からは白人にはわかりっこないと突っぱねられ捜査は一向に進展しない。そんな時、協力してくれる黒人が現れる。でも、家族に圧力をかけられたりして、その人も口を閉ざす事に。

***

偏見ってむずかしい。一人々なら、なんてことなくても、集団になってくると大きな圧力になってくる。

抵抗しよーとすれば、家族にまで迷惑が及ぶ事になる。長い間、理解されずにいると、理解されない事を前提に社会を作ってしまい、黒人だけの集団になってしまいよそものは受け付けない体質が出来上がる。そうなると崩すのは難しいんだろうなぁ。

人種差別がテーマにはなっているけど、時代背景もわかりやすく描かれてて、さすが元だっけ、歴史教師って感じだけどそういう時の流れの中で、一人の人間が何を思ってどう生きていくかという視点で描かれてるので、難しくなくて、身近に感じられた。