ジリアン・ホフマン/報復

好かれる恐怖。

報復 (ヴィレッジブックス F ホ 3-1) - ジリアン ホフマン, 吉田 利子
報復 (ヴィレッジブックス F ホ 3-1) - ジリアン ホフマン


◆制作
原題:Retribution 2004年 アメリカ ヴィレッジブックス

◆あらすじ
c・j(クローイ)は、検察官を目指していた。かなりの美人、スタイルもよく、頑張りやさん。そんなクローイが襲われた。レイプされ体を切りきざまれた。

一命はとりとめたが、肉体的にも精神的にも追い詰められる。そんなクローイの12年後、彼女は検察官になってた。

自分と同じよーな目にあってる人達の力になりたい。そー思う反面、1度植えつけられた恐怖はぬぐいがたく。誰とも付き合えず、12年たっても傷はいえないまま。

その頃、キューピットと言われる犯人が女性を襲い続けてた。被害者は全て死亡。ひょんな事から犯人を捕まえクローイが担当する事になり、法廷で聞いた声は、12年前、自分を襲った男の声だった。

***

女性の意識をもうろうとさせる薬、意識はありながら体は動かない筋弛緩剤の投与。

自分の体が切られるのを見せる為に、まぶたを切り取る手口。悪い事をする人にルールはなく、取り締まる方はルールに縛られる。

それでも諦めない人達の話を読むと、元気を貰える気がする。手口はかなり残酷だったけど、それほどの恐怖に立ち向かうクローイに思わずエールを送った。

怖いと思いながら、びくびくしながら生きていくのは嫌だと内心葛藤するのって、事件じゃなくてもある。

人に嫌われる事も好かれる事も、怖い部分があるって事を女性ならではの視点で描いてるのも好きだな。好きな人に嫌われるのが怖いというクローイの気持ちと犯人に好かれて標的にされ恐怖を味わうクローイ。

こういうのを読むと、人に好かれるのもよしあしだなと思う。好かれて付きまとわれる方がやっかいそう。きれいにしてた頃の彼氏は、彼女が襲われた後離れていき、地味にしてたクローイを好きになったドミニクは、彼女の気持ちを尊重して距離を見計らいながら、見守ってる。

美貌やお金で幸せは借りれるけど、買えないってのを思い出した。外見で惹かれる人の全員が、中身まで惹かれるわけじゃないから大事なものを見失いがちって話もうなづける。

こういうのは女性作家ならではなのかも。ドミニクがいい味出してて、それもよかったかも。でも、事件が陰惨すぎて人には勧められんな。