ニッキ・フレンチ/メモリー・ゲーム

「偽りの記憶症候群」って言葉を知った本。

メモリー・ゲーム (角川文庫) - ニッキ フレンチ, French,Nicci, 夏子, 務台
メモリー・ゲーム - ニッキ フレンチ

◆制作
原題:The Memory Game 1998年 ニッキ・ジェラードとショーン・フレンチ共作 イギリス 角川文庫

◆あらすじ
25年前の事件の真相を探るため、ジェインは催眠療法を受ける事に。事件の被害者は、かつての親友。あの夏の日、自分は何をしていたのか、親友に何が起きたのか周囲の人達は何をしていたのか。

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少女の絞殺死体、それがかつての親友だと知ったジェイン。彼女の思い出がよみがえればよみがえるほど真相が気になる。

だが、25年前のことですでに街の景気も変わり、その当時の面影もない。それでも気になり始めると、当時は何気なく見過ごしていた事が、今になって疑わしいものに思えてきたりする。

記憶をよく探せば親友の死の真相がわかるかもしれない。疑わなくてもいいものもあるだろう。それをはっきりさせたい。何気ない行動に、意味はあったのかそれともなかったのか。
そうジェインが思うのも、無理はない。

事件の前後の記憶を、催眠療法を使って探ろうとするジェイン。が、ネタばれしてしまうけど、これが危ない。(苦笑)

人間の脳、いや脳だけじゃないけど、複雑。記憶は実際にあった事も、頭の中で考えただけの事も記憶していておまけに、別々の記憶を混同してしまったりする。

そこにあるはずもないものが、記憶の中ではあったりする。どれが現実だったのかを、後から見極めるのは難しい。ジェインもその罠の中にはまっていってしまう。

ニッキ・フレンチという作家は描写がうまいのか、それとも訳者がうまいのか、その時の情景が浮かぶように読めた。

メモリー・ゲームの夏の日も、登場人物のそれぞれの思惑や吹く風までが、映画を見てるように思い浮かべられた。