スティーヴ・マルティニ/策謀の法廷

面白かったー。

策謀の法廷 (上) (扶桑社海外ミステリー) - スティーヴ・マルティニ, 白石 朗 策謀の法廷 (下) (扶桑社海外ミステリー) - スティーヴ・マルティニ, 白石 朗
策謀の法廷(下) - スティーヴ・マルティニ

◆制作
原題:Double Tap  2011年 アメリカ 扶桑社

◆あらすじ
全米屈指のソフトウェア会社mアイソテニックス社のCEOマデリンが自宅で射殺された。警察は、マデリンの身辺警護をしていた元陸軍軍曹のルイスを、犯人として逮捕した。マデリンを射殺した銃はルイスが軍時代に使っていた銃で、2人には肉体関係もあった。

マデリンに袖にされたルイスの犯行という。だが、ルイスは否定。ポール・マドリアニが弁護をすることになる。

***

マデリンは殺される直前に、高価な工芸品を買っていた。が、その工芸品は消えていた。彼女の会社は、政府からの仕事を請け負っていた。政府との関係、彼女の会社の内部の事。不特定多数からくる脅迫状。彼女自身の性格、交友関係と話が進む。

読みながら、動機をずっと考えていた。それが解れば、犯人がわかるような気がしたから。

会社関係の話は読み物としては面白かったけれど、動機にはなりにくいと思った。彼女が亡くなっても、会社は生き残るだろうし、もしその会社が無くなっても、他の会社が代わるだけ。彼女が個人的に恨みを買ったという線でも考えてみたけど、それもない気がした。現場の様子に彼女に対する恨みや執着が見えなかった。

彼女じゃなきゃいけない理由ってなんだろう。彼女は会社のCEOという以外は普通の女性。

そう考えると、どうしても彼女の仕事が関係してると思える。ただ、会社がらみというわけじゃなく、その立場なら出来る事。そう考えていたら、下巻に入ったあたりで犯人が分かった。わかったけれど、結末は見えてこなかった。

下巻も残すところ、あと少しというところで、展開があわただしくなる。法廷での決着と事件の決着が相次いで起こる。どちらも納得の結末。止められずに一気に読んだ。
死刑判決が出る可能性があった場合、審理無効という確実な結果を目ざさず、その正反対にあくまでも無罪判決にこだわるのは、いささか知力に不自由している者だけだ。
事件としての結末と、法廷での結末は違う。マドリアニ弁護士のこういうところが好き。