グレッグ・アイルズ/戦慄の眠り

まいったな。最初の数ページを読んでそう思った。脱帽。

戦慄の眠り〈上〉 (講談社文庫) - グレッグ アイルズ, Iles,Greg, 泰, 雨沢  戦慄の眠り〈下〉 (講談社文庫) - グレッグ アイルズ, Iles,Greg, 泰, 雨沢
戦慄の眠り〈下〉- グレッグ アイルズ

◆制作
原題:Dead Sleep 2004年 アメリカ 講談社

◆あらすじ
カンボジアの戦場に消えた父の跡をついでカメラマンとなったジョーダンは、取材先の香港の美術館で偶然、連作絵画「眠れる女」を見て愕然とする。

その一枚には、NOKIDSの被害者で、行方不明の双子の妹ジェーンの裸体が描きこまれていた。ジョーダンは謎の画家の手がかりを求めて、NYへ向かう。

***

出だしから引きこんでくれた。余計な説明がいっさいない。FBIが何なのか、どういう組織なのかとか。ミステリーを読みなれてしまったせいか、そういうのが面倒くさくなってる。

それがなくても話が次々転がる。相変らず、ジェットコースターのようなアイルズ節w
説明がなくてもちゃんと読めるのがまた好き。

神の狩人で、パソコンと医学の話が出てきて、沈黙のゲームでは政治や歴史的な話、
24時間では医学の話だけど、映画みたいと思ったぐらいエンターテイメントにこだわった感じがして(映画化されたのも当然かなと思う)今回は、戦争と心の傷と絵画。なんて多岐にわたるんだろう。

犯人候補が登場すると、犯人はすぐにわかってしまう。1人は、自分で切り開いてきた女性で抑圧されてない。1人は、ドロップアウトしてる分、やはり抑圧されてない。1人は、怒りは内包してるが、これだけの計画をする知性や忍耐力がない。引き算すれば、答えは出てしまう。

けれど、その答えに戸惑った。そんなはずがない。いや、そう思いたいだけ。出した答えが正解でありませんように。そう思ったぐらい。残念ながら、そう都合よくはいかなかったけど。ひさびさだな。そんな風に思うなんて。

大事に読もうと思ってたのに、結局1日で読んでしまった。