スティーヴ・マルティニ/重要証人

マルティニで最初に読んだのはこれやったかな。2重3重のストーリーが面白い。男同士、静かに火花が散るシーンとかゾクゾク。

重要証人〈上〉 (集英社文庫) - スティーヴ マルティニ, Martini,Steve, 朗, 白石  重要証人〈下〉 (集英社文庫) - スティーヴ マルティニ, Martini,Steve, 朗, 白石
重要証人〈下〉 - スティーヴ マルティニ

◆制作
原題: Prime Witness  1994年 アメリカ 集英社文庫

◆あらすじ
カップルばかりを狙った三件の連続殺人の容疑者が逮捕された。地面に縛られ無残に殺された犠牲者たち。

幼なじみの頼みで臨時に地区検事を引き受けた刑事弁護士のポールは、世間が注目するこの事件の訴訟指揮を執らなくてはならなくなる。だが、捜査が進むにつれ、複雑な真相が明らかになってきた。犯人はほかにもいるかもしれない。

***

臨時に地区検事を引き受けたポール。それでなくても忙しいけれど、忙しいからという理由で事件をおろそかにするわけにはいかない。おまけに世間から注目される事件。

ただ今回は容疑者を逮捕しているし、きちんと詰めていけばと思っていたら、そうはいかない。マルティニがそんな簡単なストーリーですますはずがないなと思っていたら案の定。

法曹界にいる人間、警察機関にいる人間、医師は、犯罪を犯す確率が低いと思う。勝手なイメージかもだけど。

そういう人の犯罪は割に合わない。職業や信用、将来を危険にさらすことになる。犯罪に走る理由の大半が、貧困と無知な気がする。

けれど今回の犯人の動機は、それを危険にさらす。危険にさらしてまで、残酷な犯罪を犯した動機が最期に明らかになる。真犯人は嫌な奴なんだけど、印象に残った。嫌な奴だけですまされないものが、あったからなんだろうな。