ジャン・バーク/骨

エドガー賞(MWA最優秀長編賞)受賞、いろんな要素が詰め込まれて、楽しさ満杯みたいな本。受賞はうなづけた。


◆制作
原題:Bones 2002年 アメリカ 講談社

◆あらすじ
連続女性失踪事件の遺体発掘隊に同行することになった女性記者アイリーン・ケリー。

だがシェラ・ネバダ山中で待っていたのは、連続殺人鬼が仕掛けた恐るべき罠だった。孤立無援の彼女が頼れるのは捜索犬ビングルだけ。絶体絶命の危機に瀕した彼女の運命は?

***

アイリーンは反抗的な態度の10代の女の子に、母親を探してくれと頼まれた事がきっかけになり、卑劣な犯人ニコラス・パリッシュとかかわる事になる。

パリッシュが埋めた被害者達を探す発掘捜査班に、同行する事になったアイリーン。でも、その発掘場所には、パリッシュの罠が。

次々と罠にはまり壊滅していく捜査班。残されたのはアイリーンと負傷した学者、死体を嗅ぎつける捜査犬ビングル。アイリーンは無事生還できるのか。

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ビングルが賢くて可愛い。もうメロメロ。ビングルは毎日訓練する。その訓練がまた大変。
訓練されるビングルも訓練する側も、ストイックなほど律しないと仕事に支障をきたす。が、訓練が終わればそこはわんちゃん。遊んで欲しがったり、その落差がまたいい。

殺人犯、パリッシュの罠の展開も好き。いつ罠に落ちるかもしれないという緊張感、いくつあるかもどこにあるのかもわからない。緊張感が続くと、神経がおかしくなりそうになる。
そんな中で、ビングルとアイリーンが必死で立ち向かうのもハラハラドキドキ。

説明調になって、つまんなく感じる本もあるけれど、アイリーンが聞き役になってるので、ストーリーの中で犬の事や発掘の事がわかるようになってる。

アイリーンは新聞記者で専門家ではないので、周囲も専門家じゃなくても、わかるように説明してくれる。テンポがいいのは、そういう事もあるんだろうな。

新聞記者の仕事場や裏話みたいなのがあったり、人間の役に立つ犬(盲導犬)がいるのは知ってたが、遺体発掘という仕事をしてる犬がいる事や、その訓練まで描いてあってそっちの方も、楽しく読めた。