京極夏彦/魍魎の匣

 1000ページ超えの長編。楽しかった。


◆制作
1999年 日本 講談社

◆あらすじ
匣の中には綺麗な娘がぴったり入っていた。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。美少女転落事件。あちこちで囁かれる魍魎話。そして巨大な箱型の建物―箱を巡る虚妄が転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。

探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。それぞれの断片、ぞれぞれの思いが交錯しながら、事件は。

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臓器売買とかを疑ったら、そこから他の考えが浮かばなくて先が読めず。全然、売買じゃなかった。気持ちよく予測を裏切られると、すっきり気持ちいいから不思議。

江戸川乱歩を思い出させるマニアックさというか、フェチズムというかそういう世界を描いてくれたのは嬉しかったかな。ミステリーにはまったきっかけが江戸川乱歩だったから余計。でも、これは京極ワールド。乱歩とは違う面白さ。

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木場が今回は可愛かった。関君、鳥君もよかった。シリーズもののいいなー。キャラのいろんな側面が見えてくる。個人的に一番好きなのは、榎木津だったりするんだけど。潔くてさっぱりしてて、賢くて変人でいい。

マニアックな世界かと思えば、思春期の少女の危なっかしさが描かれていたり、そうかと思えば、一番冷静な京極堂が怒って意地悪くなる人間臭さが描かれたり、一番強いと思わせる木場の一番弱いところが書かれたり、このギャップがいい。

読みたい作家さんがまた一人増えて、楽しみで嬉しい。

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で、映画も。

キャスト見て、嫌な予感はしてたんだけど正直力が抜けた。原作と映画は別物とはよく言う
けど、これだけストーリー変えるなら、別物として作ってくれよ。ストーリーがまったく違う。キャラクターの性格もまったく違う。同じなのは、タイトルとキャラ名だけ。

京極の名前で客寄せして、全く別物見せられて騙された感じすらする。マイナスのイメージしか残らんのに、何の為にそんな事する?って感じ。まだ姑獲鳥の夏は映画でもよかったのになー。

京極堂と榎木津と美馬坂(この字でいいんだっけ?)教授役はまだいい。柄本明さんじゃ、外見のイメージは違うかなと思うけど、キャラとしてはまだ納得できる。でも、関口君。あんな元気な関口君ならうつにはならんやろと夫さんと2人して同時に突っ込みw

研究所のあたりなんて、戦争映画みたいな。イメージだけが先行した感じがした。本を読むのは苦手な人は、映画でも別にいいと思ってたけど、この映画は本の代わりにはならないな。