「最初はごく普通のファンからのメールだと思った」ネットならではの危険。
◆制作
原題:Grace Notes 2004年 カナダ MIRA文庫
ステファニーという女性から送られてきたメールには、妻を虐待する男の様子が描かれていた。自分も夫の暴力を乗り越えたグレースはメール交換を続け、アドバイスを与えた。自分の身は守らなければ。たとえ凶器をちらつかせてでも。
だがこの善意のメッセージは狡猾にねじ曲げられ、さらなる悲劇の序章となる。画面の向こうで起こる虐待の真実、そしてステファニーの本当の姿とは。
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HPにあるアクセス(カウンタ)を見ればわかることだが、サイトを訪れたたいていの人は読むだけで、近寄ってこようとはしない。読んでくれてメールをくれた読者に感謝して、メールの返事を書いた。よくある事。それがはじまり。
ただ、主人公のグレースは危機感がなさすぎる気はする。人を疑うことを知らないというか、見てて危なっかしい。
自分が夫からの虐待を受け、兄の下へ子供と一緒に逃げてきたグレース。その体験を書いた事で作家を職業にしている。彼女の本を読み、暴力に対する相談を受ける事が多いから、つい、警戒心がゆるんでしまうのは、無理もないかなとは思う。そのうえ、本人が人が良すぎる設定。読んでる方が危機感が増す。いるんだよね。こーいう人。私は好きだけど。
そんなグレースに降りかかる災難。そーいう人の良さを見抜いていて、利用しようとするステフ。
愛される理由がグレースのキャラに生きてて、嫌われる理由がステフのキャラの中に生きてる。我慢強い人の落とし穴を、グレースのキャラで描いている事は読んでいて、微笑ましかったかな。
内容は想像した通りだったし、あんまり厚い本でもなく数時間で読めてしまったのは、ちょっと物足りなかったかも。