アンネ・ホルト/土曜日の殺人者

作家は前職女性法務大臣。賢い人は、何をしても賢そう。うやらましい。北欧の香りがするようなミステリー。雰囲気が独特だったな。

土曜日の殺人者 (集英社文庫) - アンネ・ホルト, 柳沢 由実子
土曜日の殺人者 (集英社文庫) - アンネ・ホルト


◆制作
原題: Salige er de som tørster 1997年 ノルウェー 集英社

◆あらすじ
オスロの記録的に暑い春の夜。現場に大量の血が流されているのに犠牲者がいない。不可解な三つの事件が起きたのは決まって土曜日。
同じ頃、女子学生が自室で金髪の男にレイプされる。娘の父親は復讐を誓って男を捜しはじめたが、一方、美人警部補ハンネはこれらの事件の共通項を見つけだす。

***

三つの事件の共通項を見つけ出す、美人警部補ハンネ。美人とつくとまたかいと思ってしまう。美人の方が売れるかもしれないけど、平凡の人の方が親近感がわいて感情移入しやすいのになとか。

でも、ハンネにはちょっと人と雰囲気が違う感じがして、惹かれていった。仕事は出来る。男性とジョークも言えるあっさりとして性格。行動的でもあるのに、仕事の後、飲みに誘われてもやんわりと断る。もてそうな設定なのになと思っていたら、ハンネは性的嗜好が違ってた。なるほど納得。

人に言わない事がある、聞かれたら答えるけどわざわざ大きな声で言う事でもない事がある人って好き。誰だってそういう事は1つぐらいあるだろうけど、わからない人にまでわかって貰おうとはしない感じが好き。

そんなハンネが、移民や被害にあっても声を上げられない人達の声を拾い上げる。そんな人達を食い物にする人達もいる。そんな現実に立ち向かう。前職が法務大臣というのも納得の一冊だったな。ノルウェーの社会問題が背景にあるのも話が複雑になってよかった。