ジョナサン・ケラーマン/少女ホリーの埋もれた怒り

 19歳の少女が、小学校に乱入して銃を撃った動機とは。

少女ホリーの埋れた怒り〈上〉 (新潮文庫) - ジョナサン ケラーマン, Kellerman,Jonathan, 和彦, 北沢 少女ホリーの埋れた怒り〈下〉 (新潮文庫) - ジョナサン ケラーマン, Kellerman,Jonathan, 和彦, 北沢
少女ホリーの埋れた怒り〈下〉 - ジョナサン ケラーマン

◆制作
原題: Time Bomb 1993年 アメリカ 新潮社

◆あらすじ
ロス郊外の小学校に狙撃者が乱入、射殺された犯人は今まで銃に触ったこともない、19歳のホリーという少女だった。なぜ彼女は子どもたちを標的に選んだんだろうか。学校を慰問中の、2人の政治家を狙ったということはあり得るのか。

しかし少女に政治的背景はまったくない。小児精神科医アレックスは、親友の刑事マイロの要請で、ショックを受けた子どもたちの治療に当ることになった。

ホリーは特別な子という印象はない。父親は、ホリーがそんな事件を起こすとは信じられず、アレックスに調査を依頼する。ホリーには、ボーイフレンドがいた。そのボーイフレンドは、麻薬がらみの事件で最近死亡していた。彼は、ユダヤ人虐殺に興味を抱き、少女にもその話をしていたらしい。その事が、ホリーに影響をもたらしたのか。彼女が口にしてた、ワン・シー、シーとは何のことなのか。

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アレックスとマイロのコンビは、顕在。喧嘩は得意じゃないのに、またアレックスは、危険なところへ足をつっこむので、マイロは用心棒みたいになってしまってる。いいコンビだと思う。毎回、微笑ましい限り。

今回は、特に危険な感じがする。単独犯、素人に狙われるなら、まだ脱出の余地もありそうな気がする。例え喧嘩は苦手でも、女性と違って腕力は少しはあると思うし、命がかかってるわけだし。でも、今回はプロ?複数犯?と思わせる、きなくさい感じがした。

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好奇心は大事だと思うけれど、危ない事への好奇心は自分の身を危うくする気がする。まして、19歳の少女。影響されやすい年齢。そんな多感な時期に、出会う人は影響が大きいんだろうな。

彼女のような多感な時期の人に、幸せになって欲しいと願うアレックスや、マイロ、ホリーの父親みたいな人がいるかと思えば、影響されやすい時期だからこそ、利用できると思う人もいるんだろう。いろんな人がいる。いろんな考え方がある。

一概に何がいいと言えるほど、単純な事ばかりじゃないけれど、たくさんの考え方や価値観を知って、上手くやっていける為に役立ててほしいと、ケラーマンは言ってるような気がした。