告白小説、その結末

 彼女が近づいてきた理由は何なのか。フランス映画らしい結末なのかな。

◆制作
原題:Based on a True Story 2017年 フランス・ベルギー・ポーランド

◆キャスト
デルフィーヌ=エマニュエル・セニエ(ナインス・ゲート)
エル=エヴァ・グリーン(シン・シティ 復讐の女神)
フランソワ=ヴァンサン・ペレーズ

◆あらすじ
心を病んで自殺した母親との生活を綴った私小説がベストセラーとなった後、スランプに陥っているデルフィーヌ。サイン会で熱狂的なファンだと称する聡明で美しい女性エルと知り合う。

差出人不明の脅迫状にも苦しめられるデルフィーヌは、献身的に支えてくれて、本音で語り合えるエルに信頼を寄せていく。まもなくふたりは共同生活を始めるが、時折ヒステリックに豹変するエルは、不可解な言動でデルフィーヌを翻弄する。

はたしてエルは何者なのか。 なぜデルフィーヌに近づいてきたのか。やがてエルの身の上話に衝撃を受けたデルフィーヌは、彼女の壮絶な人生を小説にしようと決意する。

***

デルフィーヌはサイン会でちょっと強引な性格のエルと知り合う。エルはインタビュー記事を書いたり、ゴーストライターなどもすると言う。だがエルは彼氏であるフランソワがデルフィーヌを利用していると吹きこみ、一緒に暮らすようになる。

そのうち友人に会うと、あなたから今はスランプなので誰にも会いたくありませんってメールが来たけど大丈夫なのと、自分が書いた記憶のないメールを見せられたりする。

最初は、エルは執着の激しい女性なのだろうと思って見ていた。デルフィーヌの名声が羨ましい。彼女になれるのならなりたい。だがそれが叶わないので、彼女の事は何でも知っている、頼りにされているという位置に痛いのかと。

ところがデルフィーヌは彼女を次回作にしようとしはじめる。そうなると女同士の化かしあいな感じになってきた。ただ、その間がちょっと長かったのは勿体なかったかも。ちょっと眠くなった。

そしていよいよ、クライマックス。デルフィーヌは病院に。胃の中から殺鼠剤が検出されたと言う。そこからがあやふやになっていく。エルは本当にいたのか、殺鼠剤はデルフィーヌの自殺なのか、それとも殺されかけたのか。

フランス映画らしい。はっきり最後を描かない。こういうのが嫌いな人はこの映画は合わないかも。

エルはデルフィーヌの頭の中にいるもう一人だと思う。心を病んで自殺した母と暮らすのはとても大変だっただろう。そんな経験をしたデルフィーヌが頭の中にもう1人の誰かを作り上げてもおかしくはない。ただデルフィーヌは自覚してなかった気がする。そうじゃなきゃ殺鼠剤なんて飲まない。最後のサイン会の時のデルフィーヌが真っ赤な口紅と真っ赤な爪をしていたのが印象的。それはエルがしていた事。エルはデルフィーヌの中に吸収されたのか。それとも。