ミネット・ウォルターズ/囁く谺

餓死した浮浪者は誰なのか。



◆制作
原題:The Echo 2002年 イギリス 創元推理文庫

◆あらすじ
ロンドンの住宅街のガレージの中で、浮浪者が餓死したのがはじまり。

ガレージの持ち主が、浮浪者の身元を熱心に知りたがっている事が、新聞記者(彼が探偵役)の注意をひいてしまう。ちょっと調べてみると、ガレージの持ち主の旦那さんは数年前に横領したお金とともに行方をくらましている事がわかる。

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ここで疑問が二つ。餓死した人は誰なのか。彼女のご主人はどうなったのか。餓死した浮浪者が旦那さん。では話があまりに単純すぎる。

調べれば調べるほど、話が複雑になっていくわりには登場人物はそれほど多くもなくキャラクターもはっきりしていて読みやすい。

浮浪者の身元を調べる間に知り合った、10代の少年。その年にしてはしたたかな考え方と、ストレートに懐に入っていく物怖じしない明るさをもってる。面倒な事になるとわかっていて、世話してしまうお人よしの新聞記者。気が小さくて引っ込み思案で問題を抱えてはいるけれど、写真に関しては凄腕の写真処理係り。引退はした老練な元弁護士。

それぞれが持ち味を生かして、事件が解かれていくあたりはなかなか楽しんで読めた。そのうえラストシーンで、そうだったのか。と思わせるおまけ的なストーリーまで用意されてる。