湊かなえ/告白

湊かなえさんを最初に読んだ本。本屋大賞1位を受賞したベストセラーなのだそうな。

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1) - 湊 かなえ
告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1) - 湊 かなえ


◆制作 
2008年 日本 双葉社

◆あらすじ
我が子を学校で亡くした女性教師が、子供を殺した犯人が、このクラスにいると終業式後のHRで話しはじめた。

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テンポはいいので読みやすい。これがデビュー作らしいので、そういう意味ではかなりいいのだと思うけれど先生が子供っぽい。

人としての生の感情というか、生き様は感じられない。先生が子供を殺されて、夜も眠れないほどに自分の中の憎悪と向き合っていけないとわかっていても復讐しようとしたなら、彼女にはそれしか答えがなかったのだろうなと納得は出来る。だが、彼女は先生としては、とか母親としては、とかの能書きが多すぎる。

もし、大事な人を殺されたら人として怒り悲しみ苦しむだろうに。その結果、誰が何と言おうと自分にはこれしかなかったでいいじゃないかと思う。

生徒に馬鹿なとか身勝手なと言ってる割には、自分も同じことをしてる。他の生徒が巻き込まれる危険性は予測できるのに放置し、最後には研究室のある建物で働いているであろう無関係な人が、巻き込まれる可能性も考えずの行動。先生も相当身勝手。

先生は、相手に自分のした事の大きさを分からせたいみたいだけど、どうすれば、相手の悔いや反省を得られるか、なんてあのやり方じゃ無理だと思う。暴力の連鎖にしかならない。
その辺もちょっとなんだかなと思う。

犯人の1人が弱くて卑怯者で、と描いているけれど、先生もそうなんだよな。復讐するなら自分の手を汚す、ぐらいの覚悟はこの先生にはない。自分の手を汚さないなら、復讐は諦めるという潔さもない。

問題提起としてはありだとは思うけど、前向きに生きていく話じゃないのが好みじゃなかったみたい。