ジョン・グリシャム/処刑室

孫が祖父を救おうとする、長い年月の話なのに、あっさり読ませてしまったのはさすがだなと思う。

処刑室〈上〉 (新潮文庫) - ジョン グリシャム, Grisham,John, 朗, 白石
処刑室〈上〉 - ジョン グリシャム


◆制作
原題:The Chamber 1997年 アメリカ 新潮文庫

◆あらすじ
1967年、サム・ケイホールはKKKの一員として、ユダヤ人弁護士の事務所に爆弾を仕掛けた。この事件でサムは起訴され、死刑判決をくだされた。事件後20年、ミシシッピ州刑務所の死刑囚舎房にいるサムの元へ、若い弁護士が訪れた。彼は、サムの実の孫だった。

死刑執行日までわずか4週間。アダムは祖父の命を救うことができるのか。

***

69歳の死刑囚のサム。26歳の孫の弁護士アダム。サムが事件を起こした頃の街の感じだと、周囲の人も事件を起こしかねない風潮があった。

69歳になったサムは、あの事件が正しい事だとは思ってない。けれどいくら後悔しても、いくらその頃は周りも似たようなもんだったとしても、人を傷つけたことは消えない。

孫のアダムは、サムの死刑を止めようとする。最初は仕事として、話したこともない祖父に会いに行く。そのうち、仕事としてではなく死刑を止める手立てを探しだす。残された時間が刻々と迫ってくる。

69歳で死刑が執行されるかもしれない。もう後数年もすれば、寿命が尽きるかもしれない年齢なんだからわざわざ死刑をしなくても、と思わないでもないけれど遺族の気持ちを考えると、そう簡単にはいかない。

何十年前の事件。事件そのもの、事件の背景にある時代。アメリカの死刑制度、死を前にしたサム。そのサムを前にしているアダム。

それぞれの要素を、すんなり読ませてくれた。それだけ整理されてたんだろうな。