ジョン・ソール/闇の中の少女

原因不明の火事の真相とは。

闇のなかの少女 (扶桑社ミステリー) - ジョン ソール, 成幸, 公手
闇のなかの少女 - ジョン ソール


◆制作
原作:Second Child 1991年 アメリカ 扶桑社

◆あらすじ
誰もが憧れる容姿を持つ少女テリィは、原因不明の火災で両親を失い、異母妹のメリッサの家に引き取られる事になった。メリッサはテリィとは対照的な性格で、引っ込み思案でいじめられっこ。

母親に折檻されていたメリッサは、辛い時には自分の中にもう一人の人格ダーシィを親友にして、紛らわせていた。

***

異母とはいえ、姉が出来た事を喜ぶメリッサだが母親、友人、ボーイフレンド、2人を取り巻く周囲の人たちは魅力的なテリィの生い立ちに同情し、優しくする反面、何故姉妹であるメリッサが、ぱっとしないのかと思う。

そして2人の夏は、運命の歯車のように転がっていく。原因不明の火災の真相がわかった時、すでに手をうつ術はなく。

ジョン・ソールは、子供関連のホラーをテーマにしてる気がする。彼の描く子供は、可愛いものだけではなく、子供ゆえの残酷さ、思いつきで行動してしまう未熟さを持っていて大人には話さない自分達の世界をもっている。テリィに対する羨望、テリィの周囲に対する自信。それが、残酷な悪意になる事もある。

13歳、異性に興味が出始めた頃、男の子達はテリィに群がり自信のないメリッサは、ますます自信がなくなる。期待と落胆が、めまぐるしく変わる。まだ、危うい年代だからこそ、踏み込んでしまう迷路。

***

自分達もそういう年代を過ごしてきたはずなのに、その頃はとても大きな悩みだったはずなのに、成長すれば、何て事なくなると見過ごしてしまう大人達。大半は問題なく、成長するんだろうけど中には、この年代に痛手を負う人もいるんだろうなぁと思わせるストーリー展開。

最後の方まで火災の原因が明かされなくて、明かされる頃には、読み始めの文章が、まったく違う景色になってるあたりが好き。