リンダ・ラ・プラント/第一容疑者

本の方を後から読むなんて、それぐらい原作を読みたくなったのよね。

第一容疑者 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 6-2) - リンダ ラ・プラント, La Plante,Lynda, 章子, 奥村
第一容疑者 

◆制作
原題:Prime Suspect 1996年 イギリス 早川書房

◆あらすじ
売春婦殺しを引き継いだテニスン。だが、前任者は部下の信頼があり女性警部のテニスンは、部下の反発にあう。そんな中、テニスンは前任者が被害者の身元を誤認していた事実を突き止める。

被害者の身元を突き止めようと奔走しているうちに、過去の連続殺人事件が浮かび上がる。売春婦殺しとの関連はあるのか。

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新しい職場、一旦、認められると協力してくれる人も出てくるが、それまでは傍観者が多い気がする。ましてこの場合、仲間内に信頼のあつかった前任者(男性)のミスを見つけてしまう。

まずい。非情にまずいと思うが、ミスを明らかにしないと捜査は進まない。ますます、反感を買うテニスン。そういうプロットが、前半の孤立無援で戦うテニスンを上手く描写していて、応援したくなる。ラ・プラントの手口にすっかりはまる。(苦笑)

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そんなテニスンのがんばりに、呼応する男性達が出てくる。女のかばん持ちかよ、みたいなからかいもスルーして、テニスンに味方してくれる男っぽさに脱帽。もう、あーた素敵と声を上げたくなる。

事件が進むにつれ味方が増え、そんな部下達への感謝と受け入れられた喜びをかみしめつつ、事件に意欲的に挑んでいくテニスン。被害者の身元を突き止めようとしている中で浮かんだ別の事件。調べれば調べるほど、ひどい事件が出てくる。必ず捕まえてやると、しっかり証拠を固めながら捜査していく様子が読んでいて楽しい。

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警察の講習に使われたと言われるのがよくわかる。一方で証拠固めをしながら容疑者を監視する。容疑者の突発的な行動にも対処しなけばならないし、証拠も法律にのっとって固めなければ、違法とされてしまう。

ルールに縛られ手かせ足かせ状態の警察が、ルールのない犯人を捕まえなければならないのはつらい。テニスンがイライラするのも許せる。それでも耐えて容疑者を追うのは、被害者の辛さを思うから。同じような目にあう被害者を増やしたくないから。

ミステリーの醍醐味かもしれないな。どんな状況でも負けない人の物語を読むのは、元気を貰える。

映画の方はテニスンをヘレン・ミレンさんが演じた。先に映像を見たせいか違和感はなかったな。

第一容疑者 7 [DVD] - ヘレン・ミレン, ヘレン・ミレン, トム・ベル, ジョン・ベンフィールド, リンダ・ラ・プラント
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