リチャード・ノース・パタースン/罪の段階

正当防衛か、それとも。

罪の段階〈上〉 (新潮文庫) - リチャード・ノース パタースン, Patterson,Richard North, 一紀, 東江 罪の段階〈下〉 (新潮文庫) - リチャード・ノース パタースン, Patterson,Richard North, 一紀, 東江
罪の段階〈下〉 - リチャード・ノース パタースン


◆制作
原題:Degree of Guilt 1998年 アメリカ 新潮文庫

◆あらすじ
弁護士クリスにテレビ・インタビュアーのメアリから、電話が入った。有名作家からレイプされそうになり、誤って射殺したという弁護の依頼だった。

かつてクリスと関係を持ったメアリは、その後、息子カーロをもうけたが、別れて長い間没交渉だった。女性弁護士テリーザとクリスは正当防衛の線で弁護を引きうけるが。

***

息子カーロをもうけて その後別れたクリスとメアリ。別れた相手を弁護するのは、感情がからむだけに難しいものになる。いや、自分だけの感情ならまだいい。息子の感情を傷つけたくない、そう思うと引き受けるかためらうクリス。

有名作家を射殺。メディアが放っておくはずがない事件。報道が過熱すればするほど、息子に対する影響や裁判に及ぼす影響が心配される。

長い間交渉がなかったメアリ、時間の経過と共にメアリがどんなに変わったのか、変わらなかったのか依頼人をどこまで信用していいのか。

クリスの苦悩が読者を惹きつけ、彼の目を通して事件を見る事に繋がっていく。法廷もの(リーガル)だけど、法廷だけで終わらないのがパタースンの面白いところ。

クリス好きだなー。自分だけの考えで突っ走らないあたり、かなり大人な安定した人格。それが息子カーロにも引き継がれてる。