トマス・H・クック/サンドリーヌ裁判

私の好みとは少しずれたけど、それでも読めるのはトマスだからかな。

サンドリーヌ裁判


◆制作
原題::SANDRINE'S CASE 2015年 アメリカ 早川書房 (訳 村松 潔)

◆あらすじ
大学教授の夫サミュエルが、大学教授の妻であるサンドリーヌを殺害したとして裁判にかけられる。サンドリーヌは誠実で聡明で周囲の人に慕われていた。サミュエルは周囲の人を見くだしていた。サンドリーヌはある言葉を残し亡くなった。彼女は自ら死を選んだのか、そうではないのか。サミュエルは無実を訴えるが、町の人証言がサミュエルを追い詰めていく。

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読み始めて物語の先が読めてしまった。ミステリーと言えばミステリーなのだけれど、女性からすると謎でもなんでもない気がする。それでも読めたのはトマス・H・クックだからだと思う。彼は元(多分)歴史教師らしいので、こういうのは得意な分野なのかもしれない。

サミュエルの気持ちになれば、自分が愛される理由が解らないというのは地に足がつかない感じなのかもしれない。人の気持ちというのは言葉で聞いても正直に答えてくれるとは限らないから、確信がない時はそういうものかもしれない。

まして男性のサミュエルにはその自信のなさを表には出せなかったのだろう。自分は偉いんだと周囲を見下す事でなんとか自分を保っていた気がする。町の人の何人かにはそれが見えていたんじゃないかなと思う。