ブリジッド・オベール/マーチ博士の四人の息子

告白してる日記、それを読んでしまったらどうするだろう?

マーチ博士の四人の息子 (ハヤカワ文庫HM) - ブリジット オベール, Aubert,Brigitte, 茂樹, 堀, 優子, 藤本
マーチ博士の四人の息子 - ブリジット オベール


◆制作
原作:Les Quatre Fils du Docteur March 1997年 フランス ハヤカワ文庫

◆あらすじ
医者のマーチ博士の広壮な館に住み込むメイドのジニーは、日記を発見した。書き手は生まれながらの殺人狂で、快楽のための殺人を繰り返してきたと告白していた。

そして自分はマーチ博士の4人の息子―クラーク、ジャック、マーク、スターク―の中の一人であり、殺人の衝動は強まるばかりと記されていた。

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ネタを知ってしまえば、なーんだと思う。ミステリーってそういうもんだろうけど。

誰だったか、作家さんがインタビューで言ってたけど、ミステリーのトリックは出つくしてる。後は、それをどう読ませるか、なんだそうな。その点では、かなり成功なんだと思う。

簡単な引き算なのに、心理トリックにしっかりはめるように持っていったのにはまいった。途中まで、その心理トリックに、見事にひっかかったのは悔しいと同時にやられた感が気持ちいい。

こんなにミステリーを読んでなかったら、多分、最期まで見事に騙されたと思う。

人の日記を読むのって、ちょっと後ろめたい気がする。プライベートな部分を、こっそり盗み見してるみたいで。ミステリーに日記を使う事があるのは、そういうわけなのかな。謎とからんでドキドキ感が増す気がする。

殺人鬼の日記と言う設定そのものがドキドキ感を煽った。怖い内容の日記、盗み見する後ろめたさ、その日記の内容が自分(メイド)に降りかかってくるかもしれない恐怖。どっちが先に相手を見つけるかという焦燥感。

くるぞー、くるぞーと恐怖感を煽る、ジョーズみたいなw