サラ・デュナントは読みやすいな。テンポがいいのと、身近な題材を入り口にしてて、気がついたら彼女の世界観にはまってる。

女性翻訳家 (講談社文庫) - サラ デュナント
◆制作
原題:Transgressions 1999年 イギリス 講談社

女性翻訳家 (講談社文庫) - サラ デュナント
◆制作
原題:Transgressions 1999年 イギリス 講談社
◆あらすじ
数年暮らした相手と別れることになったエリザベス。彼との関係は楽しい時期もあったけど、最後の方はとげとげしく。
いやがらせ?それともどこか家具の隙間とかにすべりこんでしまった?同じCDを買いなおし、気にしないようにするエリザベス。
***
男と別れた女が孤独ゆえにヒステリックになったと思われたらたまらない。が、次には台所にナベが並べられる。家の鍵を変えた方がいいとアドバイスされ、鍵を交換。鍵を交換に来たおじさんが、ポルターガイストかもと言い出し、霊現象なんて、と思うが頭の隅から離れず。
次々におこる奇異な現象に、教会まで訪ねてしまう。そんなある日、エリザベスがふっと目覚めたら。
恋愛の力関係がうまく描かれていて苦笑したのと、一人になったエリザベスが、一人の生活になれなきゃと模索したり、何でも好きに出来ると一人の生活を楽しんだりするのに共感。
一人って、相手の都合を考えなくていいから楽。反面、今まで自分以外の空気があったのにそれがなくなると喪失感が出てくる。例え、とげとげしかったとしても人間一人の存在感って無くなると、以外に大きく思えたりする。
そしてストーカー。ストーカーされた彼女が相手を嫌だと思いつつ共感したり、逆に相手の動向が気になったり。愛情と憎しみは紙一重なあたり、うまく読ませてくれる。
ストーカーが出てくるけど、ストーカーされた事がない人でも、共感出来る部分があるだろうなと思うのは、友人や夫婦とか他の人間関係でも、同じ事が言えるからかも。
最初は気にする事でもなく、逆に親切に思えたりする。が、浸透するように、考え方ややり方に口を出し始め、気が付いたら言いなりにならないと不機嫌になって、無意識にしてるのかもだけど、コントロールしよーとする人とか。
女性の牧師さんが出てくるのだけど、その牧師さんとエリザベスの友人の違いもおもしろかった。