バーバラ・ヴァイン/アスタの日記

日記の中に、昔の事件を解くカギがあるかもしれない。答えは見つかるのか。



◆制作
原題:Asta's Book 1997年 イギリス 扶桑社 

◆あらすじ
1905年から始まる、アスタの残した膨大な日記。デンマークからイギリスに移住してきた彼女が、24歳の時から数十年にわたって書き記したものだ。

死後、日記は娘のスワニーによって順次翻訳刊行され、ベストセラーとなった。そしてスワニーも世を去ると、姪のアンが祖母の日記をはじめすべてを受け継ぐことになった。

そんなアンにかつての友人でテレビ・プロデューサーのケアリーが連絡を取ってきた。遠い過去に起こったある未解決の殺人事件に関連したことが、日記の原本に書かれているのではないかという。

アンの伯母スワニーは、58歳のとき、お前は両親の実の子供ではないという匿名の手紙を受け取った。母のアスタに問い質しても相手にしてもらえず、以来、悩んでいた。

アンが日記の原本を調べたところ、1905年のスワニー誕生の前後が五枚破り取られていた。さらにケアリーの言う殺人事件とは、同じ1905年にとある薬剤師が妻を殺害したとして裁判にかけられた事件で、現場はアスタの家の近くだった。破り取られた5枚には何が書かれていたのか。

***

正直、とても長く感じた。アスタの日記を丹念に読まないと真相にはたどり着けない。その真相がどんなものか。それだけで最期まで読む羽目になった。それでも読めたのだから、つまらない本ではないと思う。途中で読むのをやめる本もあるから。

読後感も悪くない。何故なのかわかんないけど。アスタという人の人生、彼女の生き方、彼女を取り巻く人間関係、それを丹念に読み進めながらアンは手がかりを探す。

とはいえ叔母の母の日記。つまり祖母時代の話なので、時がたちすぎて探している情報にたどり着くのは無理かと思う時も。アンが覚えている母の姿、祖母の姿、彼女達の人格と思い出と日記を頼りに答えがあるかどうかもわからない質問をされてるような感じ。

そして長い旅路の末、答えを見出す。その時、アスタという人がはっきりと見え出してくる。彼女が言わなかった事。彼女が公にする必要はないと思った事。人はいつも本当の事を言うとは限らない。その人を物語るとオリヴァー・ハーフォードさんだったかな、も言っている。

長い旅路、だからこそ胸をうつのかもしれない。