リンダ・ラ・プラント/顔のない少女―第一容疑者

 前回、仕事仲間(部下)の信頼を事件を捜査していく過程で得たテニスン。今回は、人種が事件を解くのを阻む中、持ち前のガッツで解決に導いる。ちょっと切ないテニスンも見られたり。映像化されてたけど、原作も映像化されたのもよかったな。


◆制作
原題:Prime Suspect2 1999年 イギリス 早川書房 

◆あらすじ
黒人居住地区にある家の裏庭から女性の白骨死体が発見された。ジェイン・テニスン主任警部は特別捜査班を指輝、聞きこみを開始する。
死体が見つかった家の近くでは二年前に黒人の少女が行方不明になっており、被害者はその少女である疑いが強まった。が、検死の結果、被害者が別の若い女性である事実が明らかになる。

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事件が二転三転していくのが面白い。当初、2年前に行方不明になった黒人の少女だと思われていた白骨。だがそれが違う事が判明する。憶測が憶測をよび、住民同士さえ反目しあいかねない。少女の家族の痛みが、丹念に描かれているのがよかった。

白骨が誰なのか、複眼して顔がわかりはじめるとそれまで被害者や白骨として見ていたものが、ひとりの人間として想像できるようになる。なお一層、事件を解決しなきゃという思いになっていく。

数年の間に人は変化する。学生だった人が社会人になり、うまくいっていた恋が終わり、生まれていなかった子が生まれ。そういう時間の流れで、重要とは思わずに忘れている事、忘れたいと思って口を閉ざす事、1つ々に丹念に聞き込み説得し、情報を集めていく地道な過程を飽きさせずに読めた。 すっかりテニスンファンw

この本の中で、テニスンの女性としての孤独や寂しさが垣間みれる。それだけに事件が解決した時、被害者の、被害者の家族の、事件を捜査した刑事さんの、そしていろんなものを犠牲にして挑んだテニスンの安堵が伝わってくる気がした。

ラ・プラント、好きだなー。