京極夏彦/塗仏の宴

引っ張られる。

文庫版 塗仏の宴 宴の始末 (講談社文庫 き 39-7) - 京極 夏彦
文庫版 塗仏の宴 宴の始末 (講談社文庫 き 39-7) - 京極 夏彦 

◆制作
2003年 日本 講談社

◆あらすじ
小説家、関口のもとへ、自分の記憶が間違っているのか、それとも村人が消えたのか消えた村を探して欲しいという相談が。関口は、断りきれずに伊豆山中へ行き、裸女を殺して木につるしたとして投獄されてしまう。6つの妖怪の話で、宴の支度(上巻)が整い、宴の始末(下巻)で宴が終わる。

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絡新婦の理で終わりにしよーとか思ってたのだけど、またもや手を出してしまった。妖怪の話が、心の闇、記憶、言葉の力にまで及んでくる。

姑獲鳥の夏では、犯人の女性が翻弄されるしかなかった悲しみが、物語の根底に流れ続けていた。魍魎の匣では、執着してしまう事の恐怖と隣り合わせの快感が流れていて、気持ち悪いとか怖いとか、そういうのも含めて何かしら、感情を揺らすものがあったのだけど、今回はそういうのがなくて、好みからは外れ気味なのかな。ただ、世界観は相変わらず。

妖怪という題材で哲学が語れる。妖怪も人の心が作り出したもの。その妖怪の歴史を探る事で、人の歴史もまた垣間見える。そういうところはすごーーく好き。

京極さんしか描けない世界だろうし、ちょっと難解な部分はあるけど、ミステリーだからそれも読みやすくはなってるんだろうな。これが解説書だったりすると、私には理解不能だろうな。

支度の方が早く読めたけれど、始末で失速。夫さんは逆だったらしい。