いちばん綺麗なとき

見るともなしに見てしまった。ドラマだけど、原作を貼っておく。


◆制作
1999年 日本

◆キャスト
八千草薫
加藤治子
夏八木勲
多田木亮佑
中嶋ゆかり

◆あらすじ
夫を亡くした謡子(八千草薫)は1人暮らし。亡き夫の姉昭子から、謡子の息子夫婦に家を譲ったらどうかと言われる。夫と2人で苦労してローンを払い終えた家なのだ。そう簡単に手放す気にはなれない。義姉の昭子は、夫が生きている間から何かと口を挟んできて、謡子にとっては、イライラの種。

そんなある日、武田(夏八木勲)という男性が謡子を訪ねてきた。聞けば、武田さんの妻が夫と不倫していたというのだ。しかもそれを武田さんが知ったのは、妻が亡くなってからだという。

***

結婚生活に不満があったのではないか?それなら何故言ってはくれなかったのか?何故自分は気付かなったのか?何も知らなかったというショック。後悔と怒り、夫を信じたい気持ち、長い結婚生活を振り返れば、そこには積み重ねてきた信頼と思い出がある。相手が生きていれば怒りをぶつける事も、何故なのか問う事も出来る。だが、相手はもうこの世にいない。自分の感情の行き場がなく、どう整理していいかわからない謡子。

誰にも話せない。話せる相手はお互いしかいない。残された謡子と武田は、2人が旅した場所をたどりながら、少しずつ気持ちを整理しはじめ前を向き始める。

干渉してくる昭子さんの悲しみと寂しさ。半分スルーしつつ、時には怒りを爆発させて怒る謡子さん。戸惑いながらも、少年のような無邪気さと妻への後悔をにじませる武田さん。

いくつになっても、自分の感情や考えを整理しないと前には進めないのだなぁ。若くはない。若くはないからこそ、パートナーの浮気に騒ぐことも出来ず、若くはないからこそ積み重ねてきた時間が長く、その長い時間自分が見ていたものがもしかしたら違っていたのでは?と思う戸惑いを丹念に描かれている気がした。

義理の姉妹になる2人の女性の付き合い方が、あるあるでよかった。文句を言いつつ昭子の面倒を見る謡子、ちくちくと言う昭子。決して気が合うとはいえない2人が、義理というしがらみの中、喧嘩をしながら付き合い続けている。あれはあれで1つの絆になっててよかった。