ジューン・ゴールディング/マグダレンの祈り

実話が読みたい。。と思っていた時に見つけた一冊。


◆制作
原題:The Magdalene Sisters 2003年 アイルランド ヴィレッジブックス

◆あらすじ
1996年までアイルランドに実在し、延べ3万人の少女たちが収容されたマグダレン修道院。そこには、未婚で妊娠した者、レイプされた者、男に色目を使ったと噂された者、さまざまな理由で修道院に送られた少女たちがいた。性的に“堕落した”と判断された女性たちを矯正する施設として、カトリック教会によって運営されていた。彼女たちは本名を名乗ることを禁じられ、頭髪を剥られる。

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この本に書かれていた当時、女性が結婚前に妊娠する事は、恥ずべきことで、隠さなければならないことだった。そんな女性達が人の目から隠れて子供を産む場所、最期の頼みの綱が修道院だったわけだが、そこは彼女達にとってもっとも辛い場所となる。

修道院のシスターは、人々が恥ずべき事と言った事をそのまま受け入れてしまっていた。彼女の考えの中では、どんな理由にしろ未婚の女性が妊娠するというのは、許されない事だったのだろう。入所してくる女性達に対する、冷徹な対応がそれを物語っている。

筆者は、入所してくる女性達と自分を同じ目線で見ている。彼女にとって、入所している女性達は患者であり同じ女性であり友人でもある。入所してくる女性達には、女性の数だけ事情がある。

レイプされた女性、男性にだまされた女性、性の知識がないほど幼い女性。彼女達に同じ女性として心を痛める一方、自分の幸せに安堵し、安堵した自分に罪悪感さえ覚えてしまう。

風潮に逆らい自分の考えを通す事は難しい事だけど、鵜呑みにせず自分で考える癖だけはつけたいなと思う。映画も観たがやはり本の方が伝わってきた。