ミネット・ウォルターズは人にいいよと言われて読んだ本だけど、読んでよかった。
◆制作
原題:The Sculptress 2000年 イギリス 創元推理文庫
◆あらすじ
母と妹を切り刻み、それを人の形に並べた事から女彫刻家と言われた殺人犯の女性。無期懲役になったその女性の精神鑑定の結果は正常と出た。
罪を認めて一切の弁護を拒み続ける女性。弁護を拒み続ける女彫刻家は、事件の詳細を語らないがゆえに異常な犯罪を犯した強い動機すらわからず事件の経過も
語られないまま。
その事件のドキュメンタリーを書く事になったロズ。面会に行くが心を開いてもらえずそのうち妨害が
入るようになる。事件の裏にはなにがあるのか。
***
しばらく付き合っていると、その人の考え方や性格や人との接し方がそれとなくわかってくる。何も言わなくても、言わないという行動がその人を表してしまう。
ロズが感じる女彫刻家の性格や考え方、人に対する接し方と異常な犯行は、どうしても折り合わない気がしてくる。疑問をもちはじめたのは無理もない。
もし、犯人ではないとすれば何故罪を認めているのか、
何故自分ではないと主張しないのか。
その理由がわかった時やられたと思った。
人に聞いた方がいいかなって思いながら、聞きにくくて
のままになる事ってよくある。どうしても必要なら突っ込んで聞くけど、そうでもない事なら後でいいかなと思っているうちに流されてしまったり。
ましてあの状況では、言いにくい気持ちも
わかる。そういう弱い部分、恥ずかしいという気持ちに
焦点をあてたような展開。そこにくると思わなかった。
女彫刻家が黙秘した理由が女性ならではだなと思う。そうやって読ませておきながら、というか読みつつこれで納得できるのかと思いつつ読んでいると、やっぱり最後に。
この本では、ロズと恋愛関係になる男性がいて少年みたいで可愛げがある。時々その少年っぽさが
アダになるけど頼りにもなる。