スティーヴ・マルティニ/依頼なき弁護

上下巻だけど、最期までドキドキハラハラで長いとは全然感じなかった。



◆制作
原題:Undue Influence 1996年 アメリカ 集英社

◆あらすじ
「妹の面倒を見てやって」その言葉を残し妻は死んだ。残されたポールは、妻の最後の頼みに応えようとする。その義妹ローレルは、離婚後の子どもの養育権をめぐる元夫ジャックとの泥沼の裁判劇の真只中にあつた。ところがジャックの再婚相手が撃ち殺され、容疑者としてローレルが逮捕される。

無実を訴える彼女を救うために、弁護に乗り出すポール。だが、事件の公判は苦難の連続。犯人を目撃したかもしれない隣人は姿を消した。目撃者と物的証拠を覆し、義妹を死刑から救えるのか。ポールに恨みを抱く捜査担当官と、切れ者の女性検事を向こうに回し、自分と義妹、ふたつの家族の再生をかけて闘うポール。

弁護士=ポール・マドリアニ
ポールの妻の妹=ローレル
ポールの元夫=ジャック
ポールの新しい妻=メラニー

***

ローレルは代議士のジャックと結婚していた。だがジャックは女性関係を隠そうともせず、ローレルと別居し、ある日ローレルの元へ離婚届が届く。ローレルは子供達の養育権を争う事になる。

ジャックは新しい妻メラニーを迎えていて、ローレルの飲酒を責め立て養育権を得ようとする。妻に誠実じゃない男性が、養育にふさわしいかどうか、なんて事はこの際棚上げらしい。夫が他の女性に走っただけでも、飲む口実としては充分な気がするけど、ローレルは子供の養育権を争う事になった段階で、一滴も飲んでいない。それどころではないもんね。

争えば争うだけ醜聞は激しくなり、どちらも譲らない。そんな時、ジャックの新しい妻メラニーが殺される。疑われるのは、当然の事ながら元妻のローレル。ローレルにしてみれば踏んだり蹴ったり。

***

亡き妻の願いを果たす為、自分の甥と姪を守る為にローレルの弁護をするポール。隣家のマーニー夫妻に話を聞きに行くと、家はもぬけの殻。隣の家からはよく見えるはずで、事件の日、マーニー夫妻は何かを見ているのではないかと思うのだが。そして、そのマーニー夫妻を追いかけていくと、意外な事実に突き当たる。

そこから導き出された答え、それが法廷で明かされる。事件は単なる痴情のもつれ説から違う説に変わり、パソコン内のデータの消去、破棄に関する事からFBIも巻き込む。証人保護プログラムや別の事件まで、次々と話が展開していく。この怒涛の展開が面白くて、気がつくとすっかりはまって熱中。

ここで終わりなのねと思ったらもう一転。最期にきてポールが狙われる。真相はここからだったりする。最期までドキドキハラハラ、最期までサービス満点。さすがリーガル4代作家の一人。