スー・グラフトン/欺しのD

 安定のスー・グラフトン。

欺しのD (ハヤカワ・ミステリ文庫) - スー・グラフトン, 嵯峨 静江
欺しのD (ハヤカワ・ミステリ文庫) - スー・グラフトン


◆制作
原題:D is for Deadbeat 1988年 アメリカ 早川書房

◆あらすじ
ある少年を見つけ出し、2万5千ドルの小切手を渡してほしい。オフィスを訪れた初老の男性は、キンジーにそう依頼した。

うさん臭さを感じながらも、調査を引き受けるキンジー。書類を作り手付金として小切手を受け取り契約を交わした。だが、受け取った小切手は不渡りで、男は詐欺師だった。そしてその男は翌日、溺死体で発見される。

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探偵業ってのはフリーなので、決まって仕事があるわけじゃない。キンジーも保険会社の調査をしたりして、それが1作目なんだけど、今回はフリーならではな話が面白い。

通帳の残高を思い浮かべたり、お客に出すコーヒーだって無料じゃない。外を飛び回ったり危険な事ばかりじゃなく、事務仕事もこなさなきゃならない。仕事とプライベート共有で使う車は、ちょっと年季が入ってるが、買い換える余裕はない。

4作目になると、キンジーのことが少しずつ見えてきて、だんだん長年の友人みたいな感じさえしてくる。シリーズ物の強みだろうな。

探偵業という危険と隣り合わせの職業でも、残高を心配したりするとこが同じ目線で読めていい。好きなキャラ。どこまで飽きさせずに読ませてくれるかな。