角田光代・鏡リュウジ/12星座の恋物語

角田光代、鏡リュウジ著。占いは当たっても当たらなくてもいい派だけど、この本にはちょっとびっくりした。


◆制作
2009年 日本 新潮文庫

◆内容
盛り上げ上手な乙女座さん、はちゃめちゃ印の魚座くん。人気作家と人気占星術研究家がコラボした、12星座のお話。

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ヒミツさん 蠍座の私
宮地亜実子はクールよねと言われる。自分を全部さらけ出していない時、そう言われると彼女は思っている。逆になんでもかんでも話してくれたら、親しくなった証拠と思われるらしい。

桃子はつい数時間前、不倫を打ち明けたところ。亜実子を秘密主義と言った祐美枝は、自分の好きな人の事その人とどれぐらい親しくなったかを話したところ。

亜実子をクールといった多恵は、とあるバンドのファンで誰彼かまわずライブに誘う。亜実子はフラメンコダンサーのアントニオ・カナーレスの東京公演を見て衝撃をうけ、それ以来機会があれば、あちこちの公演を見に行った。それを言わないのが秘密主義だと言われる理由らしい。

言わないのは言ったからってどうなるんだろう?と思う。アントニオ・カナーレスなんて知らない人は知らないだろうし、興味もない人に、一緒に観に行こうなんていう気はないし、言われた相手も困るだろう。

あちこち追いかけて観に行くのだから、相手は知ってるんでしょ?日本人が観に来るんだから目立つんじゃない?話したことある?ホテルでばったりあって恋愛に発展したりしないの?と彼女達は口々に言う。

だが、亜実子はそんな事考えたこともない。彼女がアントニオを観に行くのは、彼のダンスが素晴らしいからで、彼本人と親しくなりたいとか、一緒に過ごしたいとは思わない。考え方も価値観もみんな違うが、大事な友達。だからこそ言わない。亜実子はそう思っている。

これを読んだ時、びっくりした。私は蠍座で、亜実子と同じような事があるから。蠍座じゃなくても、同じように思う人もいるだろうけど。私が本好きなのは知ってても、どんな本が好きなのかは知らない、みたいな事。

隠しているわけじゃないけど、言わなきゃと思わなかっただけ。同じものが好きなら、なんとなくそういう話になる事もあるけど、興味がない人に話しても、聞かされる方はつまんないだろうし、興味がない人に話す方が面白くない。

必要だと思う事なら、ちゃんと言ってるのだけど、言わなかった事が解った途端に、なんで言わないの?秘密主義?と聞かれる事はある。

夫の星座の話は、夫の印象にかなり近いなと思った。そう思うと、他も興味が出てしまう。他の星座の話も、その星座さんだとあーわかるなのか、それとも、自分の星座の話じゃないけど、わかる話があるのか、誰かに聞いてみたいような。