リンウッド ・バークレイ/失踪家族

 話のテンポがよかったな。

  失踪家族 (ヴィレッジブックス F ハ 19-1) - リンウッド ・バークレイ, 高山祥子
失踪家族 (ヴィレッジブックス F ハ 19-1) - リンウッド ・バークレイ

◆制作
原題:NO TIME FOR GOODBYE 2010年 アメリカ ヴィレッジブックス

◆あらすじ
14歳のなんてことはない普通の朝。家の中に自分以外誰もいなかった。きっと、父は仕事に行って、母はきっと兄を送っていって兄はもう学校に行ってて。そう思ったけれどそうではなかった。シンシアだけを残して両親と兄が姿を消した。書置きも何もなく、家の中は昨日のままで争ったような跡もなく、自分以外の家族がいなくなってしまった。家族はどうなったのか、事件に巻き込まれたのだろうか。それとも失踪したのか。

14歳のシンシアは何故、おいていかれたのか。それから25年、シンシアは結婚し平和な家庭を築いた。しかし心の傷が癒える事はなく、シンシアは今でもあの朝に何が起きたのか知りたいと思っていた。そんな時、あるテレビ番組に出た事をきっかけに、関係者が殺される。この事件は25年前の家族の失踪事件と関係があるのか。

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あっという間に読んでしまった。次々に何かが起こるので、間延びはしなかったと思う。主人公のシンには、ちょっとイライラさせられる。とはいえあれだけの経験をしたら、私なぞもっと周りをイライラさせそうなので許容範囲。

シンの夫テリーは悪くない感じ。温厚だけどたまには暴言も吐き、喧嘩慣れしてなくて場面によっては頼りないけれど誠実。2人の娘のグレースもなかなか賢い。グレースと同じくいいキャラがスカヴィロ。ちょっとしか出てこないけど、そこがまたいい。シンの叔母さん、テスや私立探偵のアバグノールも悪くない。

ちょっとあれかなと思うのが、交通事故に見せかけた事件とお金を渡す為のくだりと、それに伴う事件。つじつま合わせのようでとってつけた感じがした。あれぐらいはしょうがないかなー。