パトリシア・コーンウェル/私刑

検視官シリーズ最高傑作と帯にはついてた。



◆制作
原題:From Potter's Field 1995年 アメリカ 講談社

◆あらすじ
凍てつくような冬のニューヨーク。ひらひらと雪の舞うセントラルパークで名もなき女が無惨な死体で発見される。恐怖の殺人鬼ゴールトが遂にその姿を現わす。

スカーペッタ、マリーノ警部、ベントン捜査官の必死の追跡が続く。やがて明らかにされるゴールトのおぞましい過去。

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クリスマスイブ、行事に参加してるケイの前で時間が起こる。その検視の最中に、ニューヨークからゴールドの事件と思われる一報が入る。何の関連もなかったように見えたイブの事件も後々繋がってくる。無駄なものはないというか、油断してると思わぬところから話が繋がるのが楽しい。

読み終えた後、バンジージャンプみたいな本だなと思った。クリスマスイブ、とっておきのこわ~~~い話。ニューヨークに現れたと思ったら、翌日にはリッチモンド。赤い髪をしてたと思ったら、次は白。コピーしたみたいなコンビ。でも片方は利用されてるだけ。

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罪悪感がないから、人を利用し傷つける事を楽しめる。そんな男に惹かれる女性、あまりに純真すぎて踏み潰される女性、そんな事に近づきたくないのに、巻き込まれていく人々。洗濯機みたいに全部が一緒にゴーゴー回って、行き着く先は最後の対決。ジェットコースターというより、バンジージャンプ。

そんな中で、進行する恋愛が3つ。それぞれの形、それぞれの苦悩、それぞれの喜びが華を添えた感じ。

ゴールドっていう悪キャラがないと、この話は楽しくないだろうなぁ。そういう意味ではこの悪キャラはよかった。サメだよな。怖いけど、ちょっと格好よく見える時がある。近寄りたくないけど。