リチャード・ノース・パタースン/最後の審判

 2つの謎。



◆制作
原題:The Final Judgment 2002年 アメリカ 新潮社

◆あらすじ
麻薬とワインの飲み過ぎで恋人と泥酔状態に陥った女子大生ブレット。気がつくと恋人は全裸で何者かに刺殺されていた。現場には血まみれのナイフと財布。彼女は殺人罪で逮捕されるが無実を主張する。ブレットの叔母の辣腕弁護士キャロラインは、姪を助けるため23年ぶりの帰郷を決意する。

ブレットに対する予審がいよいよ始まった。検察側が突きつける一見隙のない論証を、キャロラインは水際に立った弁護で次々とひっくりかえしながら、独自の調査をもとに着実に犯人を追い詰めていく。しかし、捜査が進むにつれ、彼女が23年間封印してきたある記憶がよみがえってくる。永遠に故郷を捨てることを決意した、あの悪夢の事件が。

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話の展開が最初の頃は遅かったので、読むのをやめようかと思った。やめなかったのは、最初に謎をふたつ出されていて答えが知りたかったから。

1つは、事件の真相。ナイフによって息絶えた被害者、血のついたナイフと被害者の財布をもって裸で発見された被害者の恋人。この事件をどうやって、無罪にしていくのか。

もう1つは、被害者の恋人を姪にもつ弁護士のキャロラインの過去。何かに取り付かれたように仕事に傾ける情熱、美人で仕事も出来るのに恋人を作ろうとしない理由、過去に何があったのか。

ある程度予想がついたけど、確かめずにはいられなかった。最期になればなるほど、胸がちょっと痛んだ。胸が痛くて読みたくない気持ちと確かめたい気持ちの板挟みになった。

キャロの現実的な所が好き。皮肉が上手い所が好き。そういう性格だと言わない事が多くなる事も、理性で抑える分不器用になってしまう。その不器用さがまたいい。