京極夏彦/鉄鼠の檻

禅という世界観、面白かったな。



◆制作
2001年 日本 講談社 

◆あらすじ
自らを鼠と言い、今、人を殺したと言った坊主。山中を彷徨う、成長しない振袖を着た少女。埋まってしまった蔵から出るあってはならぬ本。謎の寺、明慧寺。

箱根に起きる奇怪な事象に魅入られた骨董屋・今川、老医師・久遠寺、作家・関口らの眼前で仏弟子たちが次々と無惨に殺されていく。解決出来るのか。

***

禅問答の中で、言葉にしてもわかりにくい事を、言葉にしているあたりに唸った。まいった。京極堂のいつもの長い話も気にならないぐらい。

謎の寺で修行しているお坊さん達。それぞれに、悩みや欲望を抱えていてそれを抑えようとか忘れようとしてるところが人間くさくていい。それが人としての、深みだったりするんだろうな。

だから、何もない慈行が、最後で哀れにさえ見えてしまう。彼は若いから、これからだろうけど。

今まで読んだ京極さんの本の中では、この本が一番好き。